スマホ転売詐欺の大型組織化に思う携帯契約システムの歪さ

現金化が可能なために 携帯キャリアのいびつな契約システムを利用する例が増えています。 そしてこの手法が組織化され大掛かりな詐欺事件に発展してしまいました。

極々話しをつづめれば以下のizaβの2記事に顛末は集約されるでしょう。 両者ともソースは産経新聞に依る物です。

  • 転売目的でスマホ複数台契約「ヤミ金に借金あった」(2012年7月20日:2019年6月7日現在記事削除確認)
  • キャンペーン悪用 携帯転売で利益1億超か 詐欺容疑で男逮捕(2012年7月26日:2019年6月7日現在記事削除確認)

前者記事の容疑者が金銭的困窮から後者記事容疑者に類する人物と 同行の上携帯ショップへ出向き、ハナから転売目的でスマートフォンを店頭で契約、 前者が自ら使用することなく後者に手渡し、 後者はこれを転売すると行った手法です。

後者は記事によれば1台に付き15,000円の報酬を前者に渡すこともあるようですし、 1日10,000円で日雇うこともあるようです。 後者はこうして手に入れたスマートフォンを1台20,000円ほどの利益で転売、 記事に於いてはこれを5,000台捌いて1億円の収益が上がったとされています。

こうした詐欺の組織化はオレオレ詐欺と似た部分が有り、 以前の関係者が転じてスマホ転売詐欺に関係することも多いとされています。

こうした詐欺の横行する影には 歪な携帯キャリアの契約システムの影響があると謂わざるを得ないでしょう。 携帯キャリア間での仁義無用の顧客争奪戦で 契約システムはキャンペーンやキャッシュバックがエスカレートし、 ある条件を見たせば只同然で新型の高級スマートフォンが手に入ってしまいます。 そのためにこそ転売禁止と謳われているのですが、 これはまたドコモがネットショップ事業進出に当たりかたむき通信の

なる2記事で物申したように、 物言わぬロイヤリティの高い、本来は一番利益還元がなされるべきである筈の 長期優良ユーザーを無視して繰り広げられる販売合戦でもあるのでした。

そしてこの事態はこうなって見れば B-CAS システムと同様、犯罪を誘発するシステムと化してしまっています。

こうした事態が相次ぐのを受けて警視庁ではホームページで 携帯電話等を販売店からだまし取る行為は犯罪です! (当該記事はタイトルは同じながらアドレスが変更され、2018年4月11日に新規内容に更新されています。)と言う呼び掛けページを用意しました。 転売前提の契約は携帯電話販売店に対する詐欺罪が成立すると言う要旨となっています。

警視庁がこの如き判断をなすをは至極当然ですが、 通常の商売観念から言えば転売の禁止は可笑しなものです。 下手に拡張すれば小売業者のバイヤーなど成立しなくなってしまう概念です。 例えば販売ではなく貸与であることを明示するなど 携帯販売店側、延いてはキャリア側の態度の明確な公開と 携帯キャリアがユーザーの利用法を厳しく規定している事実の 周知が先ずは必要とされるべきでしょう。

この歪な契約システムは スマートフォン、その以前のフィーチャーフォンの頃から 高騰する端末料金をオブラートで包みながら顧客と契約しようとしたのに端を発するでしょう。 なんとなれば高価なものでは契約が上手く運ばないからです。 基本的には端末代を毎月の料金に分散させて廉価に見せる手法が多く選ばれ、 それにオプションが入り混じりユーザーには何が何やら分からない契約にもなってきています。 これを逆手に取る連中が出るのは或る意味自然な流れでもあり、 ビジネス、ビジネスと箴言を唱える金銭的盲目者が付け入れられるのは自業自得でもあり兼ねません。携帯キャリアは言ってみればユーザーの性善説に付け込んだ しっぺ返しとも言えるでしょうか?

白ロム なる携帯端末はガジェット好きのヘビーユーザーに好んで使われた裏技的なものでした。 勿論白ロムは便利に使えば高騰する端末代を抑える効果もありますし、 海外では一般的な手法ですからこれ自体には問題はありません。 しかし特にドコモのFOMAカードなどが使われ始めた頃から 端末を転売目的で購入することが手軽に出来る様になったのでした。 日本では基本的に白ロムが利用される前提では契約システムが作られていないまま ガラケー宜しく此方もガラパゴス化が悪い意味で進んでしまったのだと思います。

そして今回の大型詐欺事件を発生せしめたのはこれ等、歪性を分かりながら 何ら根本的是正措置を取らないで利益至上主義で来た携帯キャリアにも 責任の一端はあるのではないでしょうか。 こと此処に至って又もや警察の出番となって 我関せずと知らん顔を決め込むのは如何なものでしょうか。

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