ソニー、アップルに楽曲配信 販売増へ戦略転換 と言うタイトルで記事が配信され、 その無料で読むのが許された部分から、以下を引用します。
音楽ソフト最大手のソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)は2日、国内でスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)の「iPhone(アイフォーン)」など米アップルの端末へ楽曲配信を始める。アップルへの対抗上これまで配信してこなかった。SMEに所属する歌手の楽曲をiPhoneで買えるようになる。配信市場が低迷するなか戦略を転換し、楽曲の販売増を目指す。
iPhoneや携帯音楽プレーヤー「iP…
引用部分が斯くなっていれば、恐らく殆んどの人は iTunesでソニーに所属する歌手の歌が聴ける、と思うことでしょう。 しかし実際はもう少し話しが込み入っているのでした。
上の記事は日経新聞から本日2012年7月2日に配信されたものです。 日経新聞は記事全体を読むには有料会員になる必要があるのですが、 その勧誘のため無料で記事の冒頭部などをネット配信しています。 その記事の一つが上のSMEが権限を有する楽曲がiPhoneで聴ける旨の記事でした。 当然、記事には続きがありますが、無料では読めません。 時に依ればこれば煽り記事、ネット用語では所謂 釣り 記事の効用を持つことがあります。
この記事を見てどのような反応が有ったかと言えば 【速報】ソニーがアップルに楽曲配信きたあああ などで検索すると悲喜コモゴモの状況が聞けます。
もう少し詳しい状況がないかと捜してみると、おや?と思うような記事も目に入って来ます。 例えばゴールデンタイムズ2012年7月2日の記事 【速報】 ソニー、誰得仕様でアップルに楽曲配信へ のようなものです。 SMEの楽曲がiTunesで聴けると言うのに 誰得仕様 となれば気になってしまいますね。
確かにゴールデンタイムズには上記の日経新聞記事も引用されているのですが、 その下にはもっと気になる記事が引用されています。 これも本日の記事、Appleちゃんねるの [Apple] ついにSonyがAppleに楽曲提供。*ただしiTMS配信ではなくレコチョクアプリ経由【日経新聞】 (2019年6月11日現在当該サイトのドメインは別ドメイン運用のブログへリダイレクト処理されますが、リダイレクト先に当該記事は見付からないため、 ソニ☆モバ 【SO☆MO】に同日、2012年7月2日付けで配信されていた ソニーがついに邦楽をアップル端末向けに配信~ただしレコチョクアプリ経由【追記あり】 にリンクを貼り置きます。)です。 ただし書き付きのタイトルがとても気になります。 どうもiTMS、即ちiTunes Music StoreでSMEの楽曲が配信されるのではなさそうです…え?
やはり今の世の中に於いては大抵は アップルに楽曲配信と聴けばiTunesで聴けるようになると理解するものです。 したがってAppleちゃんねるにもただし書き付きのタイトルの配信がなされると言う塩梅です。
話しの要諦は以下です。
ミュージックプレイヤー「レコチョク plus +」については今年の1月9日に既にアナウンスされ「LISMO unlimited powered by レコチョク iPhoneアプリ」も4月にリリースされており、日経新聞様がiPhoneアプリ「レコチョク plus +」をリリースのタイミングでこの様な記事を書いたようです。従来SMEの楽曲を聴けるスマートフォンアプリ レコチョク plus + なるものがAndroidなどに配信されていたのですが、 そのアプリがiPhoneアプリとして昨日2012年7月1日に配信されることになり、 それを以て日経新聞が ソニーがアップルに楽曲配信 なる記事を書いてしまったのですね。 この記事が大多数の人へ 即ちiTunesでSMEの曲を聴けるようになる、 と言う誤解を与えるものになったしまった訳です。
またマイナビニュースの2012年2月22日の記事 アップル、iTunes in the Cloudなどの新機能でiTunes Storeを強化 - ソニーの一部楽曲も取扱開始 海外では一部SMEの楽曲がiTunesでも聴けたりするものですから話しは複雑です。 ソニー側に取ってはこれはSMEに楽曲はiTunesでも聴ける ものもある と言うエクスキューズにもなる訳です。
やはりソニーのこの姿勢は嘗て技術のソニーとして世界を席巻した 井深大、盛田昭夫時代の精神を有するソニーとは思えない 凡そフェアーとは言い難いものでしょう。 なるほど流石かたむき通信に 著作権 としてカテゴライズする中で 違法ダウンロード に並々ならぬ意欲を見せる企業だけはある、 と思わないではありません。
また日経新聞の報道の仕方にも些か問題を孕むようです。 Yahoo!ファイナンスにはこの報道を受け本日の株価について ソニーは米アップルの端末に配信開始と伝えられ続伸 (2019年6月11日現在記事削除確認)なる記事が配信されました。 以下引用(下線部引用者)します。
ソニー <6758> は2日、続伸の始まりとなり、1142円(19円高)で寄ったあとは1144円と堅調。前週末のNY株式が277ドル高の急伸となり、EU首脳会合では機動的な対策が打ち出されたため、外為市場でもユーロ回復・円安になったことが好感されている。また、 ソニー・ミュージックエンタテインメントが「iPhone(アイフォーン)」など米アップルの端末に楽曲配信を始めると伝えられたことも好感 されている。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
さて以上の状況を受けてtogetterに面白いまとめが本日2012年7月2日に配信されています。 日経の釣り記事「ソニー、アップルに楽曲配信 販売増へ戦略転換」まとめ がそれです。 ゴールデンタイムズ記事のコメント欄も辛辣ですが、 またこのまとめもなかなか手厳しい内容で、 このような批判的意見が噴出するのも上の状況を見れば致し方ないと言えるでしょう。 幾分不適切の謗りを免れない記事配信でありました。 日経新聞にはその己の影響力も鑑みた上で もう少し配信姿勢に妥当性を持たせ、 慎重に記事を配信して欲しいものです。