1・2の三四郎2・ザ・スーパーマン

そのタイトルを見ていると数字ばかりで些か幻惑されそうなのですが、 その内容も幾分目くらましを受ける感のあるのが漫画 1・2の三四郎2 です。 目くらましと言うよりは漫画の登場人物があまりに元気良くあちらへこちらへ飛び回るので それに振り回されて目が回る感じと言ったら良いでしょうか。 漫画家 小林まこと さんにより週刊ヤングマガジンに1994年から1998年の足掛け5年に渡り連載され、 全6巻の単行本にまとめられています。

小林まことさんはかたむき通信に2012年8月14日の記事 青春少年マガジン~新人3バカトリオの時代 で取り上げました格闘ものを得意としながらも何処か可笑しみのある作品が特徴の漫画家さんです。 その代表作には当該記事にも What's Michael?ホワッツマイケル?) や 柔道部物語 と共に 1・2の三四郎 があるとしましたが、本記事で取り上げる漫画こそ、その続編となります。

デビュー作である 格闘三兄弟 を継承、膨らませた形で誕生した 1・2の三四郎では、数々の特徴ある登場人物が画面狭しと飛び回り 読者の抱腹絶倒を誘うずっこけ振りを繰り広げながら、 主人公の高校生時代から始まった物語は高校を卒業してプロレスラーへと成長する過程を描いています。 1978年から開始された連載は1983年まで続きました。 因みに8月14日記事の 青春少年マガジン1978~1983 では最終回に至る迄〆切間際の格闘する様が面白可笑しく描かれています。 続編の1・2の三四郎2はそれから11年後に書き始められているのですね。

続編たる1・2の三四郎2は主人公 東三四郎 が3年間のアメリカ武者修行から帰った処から始まりますが、 さて凱旋と言う段になって受け入れ母体のプロレス団体が不渡りを出して倒産してしまうのは 如何にも一筋縄ではいかないストーリー展開に先ず一噴きです。 世界のプロレスラーをなぎ倒す立派な体躯を有した三四郎の選んだ職場がまた ファミレスの雇われ店長でお客さんに頭を下げてばかりの謝り役と言うのにまた一噴き、 偉そうなお客さんが邪魔で出られないとクレームを付けた自動車を ちょいと引き摺って片付けるのを見たお客さんの血相にもう一噴き、 と言った調子で畳み込まれる笑いに愉快この上ない漫画であるのは前編と変わりません。

そしてやはりこの物語の骨格を成すのはプロレスであって 世界最強の男、三四郎を周りが放っておく筈もなくリングの上に引っ張り出されます。 三四郎が復帰するや、昔の仲間が集まり出すのは人徳でしょう、 尊敬ではなく馬鹿にされつつではあるのですが、そこはまた一噴き。 そんな仲間達と全国を巡業に回る中に実在の建物が登場するのを伝えているのは 1.2の三四郎の妄想 なる記事でその 新庄市体育館 の写真と共に漫画の感想も記されています。

三四郎の所属する団体はこうして楽しく成長して行きます。 しかし飽く迄このお話しの中心には悪役との対決が用意されているのでした。 全6巻を通し最初は仄めかされる程度だったものが影に日向に名前の上がり、 一連の関係者の喧しい悪評と託ちは三四郎への愚痴となり懇願となり、 やがてこの対決へと物語は収斂して行きます。 足掛け5年、全6巻にも渡る長編ながら、 さながら読み切りの如き心持で読み切ってしまえるのは こうして物語に一本、筋を通しているからに相違ないでしょう。

最後の対決ではプロレスラー東三四郎の面目躍如です。 旧来のショーアップしエンターテインメント化されたとプロレス技を揶揄する悪役相手に 数々のプロレス技そのものが炸裂します。 実はこれこそかたむき通信8月14日の記事に記した小林まことさんのドラマツルギー、 一工夫 のバリエーションでした。 デビュー作格闘三兄弟では主人公にただ柔道で大会を勝ち進めさせるのは芸がないとした 編集者との話しの中から飛び出た プロレス技で柔道大会を勝ち進む と言う物語構成のスパイスだったのでした。

さてさて、まるでスーパーマンの如き主人公の三四郎ですが、 これも作者のドラマツルギーか、 三四郎をスーパーマン足らせる身体的特徴を持たせているのでした。 作中に明らかになったこの三四郎の身体的特徴は仲間内にその性質ゆえ極秘裏に共有されます。 勿論その話題が出る度に読者は抱腹絶倒しながらも、 流石三四郎はスーパーマンだと思わせしめられもするでしょう。 その特徴とは何だですって? それは読んでのお楽しみです。

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