居眠り運転が原因で事故の相次ぐのはかたむき通信にも伝えましたが[K1]
本来は安全、安心を提供するべきバス運行会社が過剰な業務を強いられた結果となると悪質です。
このあってはならない事故が発生させてしまったのは千葉県成田市のバス会社
株式会社
国土交通省は相次ぐ乗務員の過剰勤務に因る高速バスの事故を受け 高速バス運用企業の規制に乗り出すのも已むを得ない事情[※2] となったのは事業者が自らの首を絞めた感があります。 新基準[※3] に因って事業を継続出来ないと経営を断念する大量のバス会社が発生した[※4] のは、返って従来そのようなギリギリで運営がなされていたのかと気付けば 些か身が竦む思いも感じさせられます。
国土交通省が2012年7月18日に交付、20日を以て施行とした新基準[※3] の内容には以下の2点が有ります。
前者の基準、高速ツアーバス等の夜間運行に於いて交替運転者を必要とする条件は 一運行あたり、以下の運行距離又は乗務時間を超えた場合とされました。
- 事業者が特別な安全措置を実施せず、又はその内容について公表していない場合であって、 実車距離が400kmを超えた場合
- 事業者が特別な安全措置を実施し、その内容について公表している場合であって、 実車距離が500kmを超えた場合
- 1人の運転者の乗務時間が10時間を超えた場合
クルージングワールド社は11時間半の乗務計画を立てており、 正しく上記3番目の条項に違反していたのです。 その結果運転手の居眠り運転を誘発しトラックに追突、 乗車していた31名に怪我をさせるという重大な事故を引き起こしてしまったのでした。
これが事故が発生する迄発覚しなかったのは問題とされるべきでしょう。 恐らく規制が更に進み様々な面でコストが掛かるのは残念と謂わざるを得ませんし、 事業者はまた更に自らの首を絞めることになってしまいました。
これだけ一般に迄周知されている新基準をバス会社が知らなかったでは済まされません。 実に懲りないと謂わざるを得ない事案です。 恐らくは従来も総てに於いて多少は好いだろうとする甘さが この高速バス事業全体に蔓延っていたのではないでしょうか。 規制が進むのも已む無しとせざるを得ない所以です。
経営に対する甘えが感じられるのは安さに於いてしか競争に参じられないのを見ても明らかです。 ビジネスに於いて競争力の源泉を価格に求めるのは 相当の条件を揃えない限り下策とされます。 高速バス事業者は是非以上を鑑み、 競争力の源泉を廉価以外に備えた上で事業の継続を図って貰いたいものです。
かたむき通信参照記事(K)- ナップ・ヴァイーブ・プラス2が品薄~相次ぐ居眠り運転事故に対応(2012年5月17日)
- 乗務時間、新基準に違反(新潟日報:2012年8月2日:2019年6月7日現在記事削除確認)
- 新高速乗合バスについて(国土交通省:2012年7月30日)
- 高速ツアーバス等の過労運転防止のための交替運転者の配置基準等の策定について(国土交通省:2012年7月18日)
- ツアーバス110社超が事業断念 夜間1人400キロの新基準で(MSN産経ニュース:2012年7月20日:2019年6月7日現在配信サイト停止確認)