シャープ危機~株価ストップ安が鴻海出資交渉に影響

株価が100円辺りを彷徨うNEC 〔K1〕 を追い掛けるように下落が止まらないのは シャープ にて遂に昨日2012年8月3日はストップ安の192円、 これに反応したとされるのが同社との資本提携が予定されている台湾の 鴻海精密工業 です。 〔※1〕 鴻海(ホンハイ)は3月にシャープの新株を1株当たり550円で引き受けることで合意していましたが、 この株価の急落にシャープの現時点での否定のコメントはある 〔※2〕 ものの引き受け価格の引き下げを求める意向だとの報道がなされています。 〔※3〕

今年上半期のシャープの株価の不調はかたむき通信にも扱う 〔K2〕 中に 世界最新鋭の設備を増設した途端にブームが去って借金だけが残る戦艦ヤマト的経営手法 と揶揄され、遂には1,000億円の赤字決算に1千人規模のリストラ 〔K3〕 が予測されたのを結局上回る最終赤字は2,500億円へと拡大へし、 リストラ規模も5,000人と当初の5倍削減が余儀なくされるものです。 〔※4〕

貧すれば鈍すと謂うのか、シャープは7月26日には大阪国税局の税務調査で 74億円の申告漏ればかりか16億円の所得隠しが発覚し 〔※5・6〕 弱り目に祟り目、泣きっ面に蜂と言う塩梅で昨日のストップ安となった訳で、 出資予定者もこれでは考え直さざるを得ないのが人情でしょう。

シャープはCAAC化に依る液晶パネルの高解像度化成功を果たした独自技術、 新IGZOを以てiPhone5新Retinaディスプレイの受託を獲得せるものとされていました。 〔K4〕 愈々これを8月中に出荷すると正式に業績発表の記者会見で社長自らが言及 〔※7〕 、シャープに取っては取り敢えず喜ばしい知らせには違い有りませんが、 従来の日本メーカーの世界に於ける位置付けから考えれば 本来はiPhoneに相当する商品を開発、保有するべき立場が要請され、 これでは下請けの部品メーカーに過ぎないという声も聞かれもし、 本格的回復を目指すには難しい状況が続きます。

アップル社ならぬ鴻海との関係に於いても事実上の買収とも囁かれ 〔※8〕 最早下請けメーカーとして甘んじなければならない様相を呈する中、 今回のストップ安に鴻海は出資を拡大する可能性もあると広報が言及し 〔※9〕 益々その色の濃くなる感が否めないのでした。

シャープの業績をSCP分析すればそれはほぼ収益ゾーンの下辺で推移しており 顧客創造力を持たない為に需要が生み出せないでいるのが見て取れます。 〔K5〕 需要を予測し大型の設備投資をすると言うような博打的経営でなく、 自らの豊かな発想で需要を生み出すことこそが必要とされているのです。 つい数年前迄企業スローガンとして用いていたコピーライター仲畑貴志氏の手になる 目の付けどころが、シャープでしょ。 をそれこそ地で行き独自の製品で消費者の心を掴まない限り、 現在の前田知巳氏の手になる企業スローガン 目指してる、未来がちがう。 は回復基調のパナソニックやソニーとは逆のネガティブな方向への意味ともなり兼ねません。

かたむき通信参照記事(K)
  1. 株価初の100円割れNEC危機的評価~LaVie Zは復活の尖兵となり得るか(2012年7月21日)
  2. クソ株ランキング2012上半期にノミネートされる企業をビジネス記事に見直してみた(2012年7月9日)
  3. シャープ残酷物語~免れ得ない大幅人員削減(2012年7月24日)
  4. シャープ新IGZOにiPhone5新Retinaディスプレイの可能性(2012年6月2日)
  5. CVP分析への疑義とSCP分析に依るシャープ及びルネサスの改善方向性の示唆(2012年8月3日)
参考URL
  1. 台湾・鴻海:シャープへの出資条件、見直し交渉へ-株価急落受け(ブルームバーグ:2012年8月3日)
  2. シャープ株急落:鴻海が出資条件見直し 資本提携(毎日新聞:2012年8月4日)
  3. シャープへの出資、見直しで同意 鴻海が発表、株価の下落大きく(47NEWS:2012年8月4日)
  4. シャープ最終赤字2500億円に拡大へ、5000人削減(ロイター:2012年8月2日)
  5. シャープが74億円申告漏れ 所得隠しは16億円 大阪国税局が指摘(MSN産経ニュース:2012年7月27日)
  6. シャープが5年間で74億円の申告漏れ、一部は所得隠しとの指摘(ロイター:2012年7月27日)
  7. シャープ、新iPhone向けディスプレイを8月中に出荷(ITmediaニュース:2012年8月3日)
  8. 鴻海が事実上の「買収」、シャープは下請けに甘んじるのか(日経BPネット:2012年4月9日)
  9. 鴻海精密工業:シャープが望むなら、出資拡大を希望-米紙WSJ(ブルームバーグ:2012年8月3日)
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