露と消えにし老舗ホテル百万石~北國リゾート倒産の後を受けるも立て直しならず

加賀百万石の老舗はその名も ホテル百万石 を舞台に何やら訝しい動きが見られるようです。 ホームページを見れば本日2012年9月6日の段階で、 以下の様な淋しげな掲示がなされるのみです。

ご案内

平素は格別のお引き立てをいただき、厚く御礼申し上げます。

突然の通知ではありますが、平成24年9月6日をもちまして、ホテル百万石の営業を急遽休業する事となりました。皆様方には大変ご迷惑をおかけしますが、何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

尚、詳細のご説明等につきましては、下記担当窓口までご連絡下さいますようお願い申し上げます。

<問い合わせ窓口>
営業及び予約に関する件
ホテル百万石
TEL(0761)77-1111
平成24年9月5日

ホテル百万石は創業が明治40年と言いますから西暦では1907年の老舗中の老舗、 しかも北陸三県で最大級の温泉街である 山代温泉 街でも一際構えの大きな中心となるべき旅館です。

営業は既に停止されており、これは旅館を運営する 百万石アソシエイト が4日に明らかにし、更には本日取引業者向けの説明会を開くとのことですが、 またハローワーク加賀に依れば当該社からは全従業員である約200人を本日6日付で 解雇する旨、連絡があった[※1] とされています。

流石に地元メディアの北國新聞の情報は早く、詳しいもの[※2] であり、既にこの件は関係者筋から3日には明らかとなっていたとしており、 それでも3日迄は通常通り営業をしており、 余りに急なこの休業が関係者に動揺を招いている旨、伝えます。 一時的な休業としたい運営側の意向も報じられるものの、 格安料金が売りの旅館チェーンの当該ホテル取得の動きもあり予断が許されないようです。 過去には昭和天皇のご宿泊もあった山代温泉街の中心的存在でシンボルとも目されれば 単に一ホテルの話しに留まらず温泉街関係者に広く不安を招いていることでしょう。

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実はホテル百万石は以前 北國リゾート なる企業に依り運営されていましたが当該社は明治40年に先ずは客室8室に過ぎない 花屋旅館 の経営を目的に創業して徐々に規模を拡大、昭和35年には法人化し、 昭和37年に加賀市山代温泉に客室27室大型旅館ホテル百万石を開業したのでした。 遂には山代温泉トップの収容人数1,100人を誇るまで成長し、 スパリゾート施設なども手掛け、静岡県熱海市にも旅館を開業しましたが、 バブル崩壊以降の業績がご他聞に漏れぬ冴えないものであり、 そして4年前2008年の8月に債権者から金沢地裁へ破産手続開始[※3] を申し立てられたのでした。 当時負債総額は83億円とされています。

北國リゾートは従って破産管財人の下に資産管理会社となり、 これより運営権を城とされたのが東京の 百万石アソシエイト 株式会社だった訳ですが、此処に急な休業を招く結果をなってしまっているのでした。

北國新聞 [※2] に依れば数ヶ月以前よりホテル百万石の旅館建物の明け渡し巡って 破産管財人と百万石アソシエイトが係争中であって 金沢地裁が明け渡し請求を認める決定を出すも対して百万石アソシエイト側が 決定取り消しを求める提訴を同地裁に起こすなど何やら泥沼的様相を呈しています。

老舗のブランドはなかなかに作り出せるものではありませんから 或る一定以上の価値を有するのは確かでしょう。 これを上手く活かせなかった処に今回の騒動は根差すのでしょうが、 また活かせなかったもの同士がこのブランドを巡って争うのも 些か愚かしい印象が持たれるものです。

参考URL(※)
  1. 加賀温泉の老舗“ホテル百万石”が休業…全従業員を解雇(zakzak:2012年9月5日:2019年6月29日現在記事削除確認)
  2. ホテル百万石、あすにも休業 山代温泉の名門(北國新聞:2012年9月4日:2019年6月29日現在記事削除確認)
  3. 北國リゾート(株)[石川] 温泉旅館経営/破産手続開始を申し立てられる/負債総額約83億円~旧(株)ホテル百万石~(東京商工リサーチ:2009年1月30日)
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