レバ刺しなど生食用に牛レバーの出荷が禁じられたのは今年2012年7月1日のこと[K1・2] かたむき通信にも駆け込み需要[K3] や代替食品[K4] についてものして来ました。
しかし矢張り本物を求める声が多いのでしょうか、 MSN産経ニュースの伝える処[※1] に依れば、厚生労働省が牛レバーに於いて放射線照射による殺菌効果を確認するための研究班を 補助金1千万円 を用意の上、設置したとされています。 研究を実施するのは 国立医薬品食品衛生研究所 などで、その研究はレバー内部の食中毒菌などを放射線照射で死滅させられるのか確認するとともに、 レバーの変質の程度を調べるものだとします。
そこで厚生労働省のホームページを見てみると 例に依って大手メディアに報道された直近のニュースが見られないのは残念な処で、 大手メディアに感心もし、 行政機関サイトは厚労省に限らず改善して欲しいものですが、 放射線照射に関する情報は掲載されています。 飽く迄中立的なその施策を伝えるものが本筋として用意されています[※2] がしかし決して肯定的ではないものの記載もあります。 それは8年前の情報ではありますが中国から輸入した放射線照射されていたホッキ貝加工品を 輸入者に対し回収を命じた[※3] ものです。 併せて省として中国政府に対し、 日本への輸出食品には放射線照射を行わないよう改めて周知を要請したことにも言及されています。 放射線照射された食品は決して肯定的には扱われていません。
MSN産経ニュースには併せて海外では放射線照射は一般的であり、様々に利用されている[※1] と伝えますが、如何にして本邦厚労省がこの如き方針を貫くかと言えば、 それは恐らく世論がそうさせているのであると思われる傍証記事[※4] があります。 記事に依れば食品への放射線照射の研究は既に半世紀の歴史を有すも、 原発推進派による活動の枝葉の一つと目され、 健康被害について常に疑心暗鬼の目で見られるものでした。 この真実の行方は今以て係争中の問題でもあるものであったのです。
その健康へ与える影響が藪の中では敬遠するのも人情というものでしょう、 発芽を止めるために日本で唯一、放射線照射が許可されている北海道の士幌町農協の ジャガイモの場合でも従って出荷数は一向に伸びて来ないのでした。 行政が決して強制的に禁止するのではなく、 民意を鑑みた上で現在の状況になっている証左と言って良いと思います。
ところがどうにもレバ刺しに限っては、 それでもあの味が忘れられないと言う御仁が多いのものでもあるようです。 厚労省の動きに注目しているこれらの人々に向けて レバ刺し好きの記者自らが執筆した記事さえ登場し[※5] 放射線照射研究開始の動きに賛意を示すかの内容となっています。
今迄は放射線照射の危険性を主張するグループの目だった消費者団体に於いてさえ、 牛レバーに於いては実際に放射線照射を実施、 においや噛み応えなどの実証実験を行っている処さえ登場する様相を呈している[※6] のでした。
今回の厚労省の決定とされるものは 業界団体である日本畜産副産物協会からの要望書もさりながら 消費者のレバ刺しへの強い要望が有ったため[※1] ともされています。 何しろ危険覚悟での駆け込み需要が絶えなかった程ですから。
闇で取引されたり、それを危険承知で食す人々が多ければ、 それだけのリスクを侵し例え殺菌コストが上がっても構わない人達向けにレバ刺しでのみ、 それが決して望まない人に迄流通しない措置が施されるならば、 世の中に喫煙とて許され、専用の席さえ用意されているのですから、 放射線照射を許可しても構わないのではないのだろうかと言う気がします。
かたむき通信参照記事(K)- レバ刺しは食べられなくなる~生レバーのO157問題で厚労省が販売禁止通達(2012年6月13日)
- 7月1日うるう秒挿入の本日2012年後半の開始日はレバ刺し禁止、固定価格買取制度、コンプガチャ規制などの施行日(2012年7月1日)
- レバ刺し駆け込み需要と食中毒と自己責任とハイスキー食品工業マンナンレバー(2012年7月6日)
- 改めて危険性が浮き彫りになった牛レバー生食より馬レバ刺しが来ている(2012年7月20日金曜日)
- レバ刺し“解禁”へ 放射線照射で殺菌検証 香辛料、浅漬け…利用に期待(MSN産経ニュース:2012年9月6日:2019年10月5日現在当該サービス停止確認)
- 食品への放射線照射について(厚生労働省)
- 放射線照射されたホッキ貝加工品について(厚生労働省:2006年2月25日)
- 放射線照射食品の歴史 (東京新聞)(「日々担々」資料ブログ:2012年8月26日:2019年10月5日現在要ログイン化確認)
- また食べれる日が来る?「牛レバ刺し」殺菌に「放射線」厚労省が研究開始(GIZMODE:2012年7月30日)
- 牛の生レバー 消費者グループが放射線照射テスト 「色、においの差なし」確認(MSN産経ニュース:2019年10月5日現在当該サービス停止確認)