iPadでGlaxy Noteの描き味に迫るタッチペンJot Touch

遂にGalaxy Note 2が発表され[K1] 日本でもドコモから2012年10月の発売が予想される処で、 その電磁ペン性能の高さから更に多くのグラフィッカーの人気を集めそうな様相を呈しています。 近頃米国では勝訴するものの日本では敗訴と、 サムスン社と訴訟合戦を繰り広げるアップル社の元祖タブレットiPadも負けていられない処ですが、 どうやらグラフィッカーを取り込むための戦術は サードパーティーが展開してくれそうな状況です。

それと言うもの プリンストンテクノロジー株式会社 社から2012年7月30日に発売されたiPad用スタイラスペン Jot Touch[追] が従来のものとは一風異なった描き味を齎してくれるからです。

その最も特徴的なのは 筆圧感知 機能でしょう。 Jot Touchは第5弾の製品にして初めて感圧センサーを搭載しました。 ペン先にかかる筆圧をBluetoothを通してiPadに伝え実現しています。

iPadではどうしても文字や絵を描くときにはその描線は単調にならざるを得ませんでした。 なんとなればiPadでは触った、触っていない、の2種類しか検知していなかったからです。 勢い描線は均一な線とならざるを得ません。 線の太さこそアプリの機能で選択可能であっても その太さを変えようと思えば再びメニューから選ぶ一手間が余分に加わります。 これが筆圧感知機能を備えることに依って 強く書けば太く、弱く書けば細く線が描画されますから 従来より紙に文字や絵を描くような自然な描画感を得られるのです。 これはイラストレーターや画家などのグラフィッカーには堪らない、 と言うよりは必須の機能でしょう。

論より証拠、そのJot Touchが使用されている様が映されている動画が 公式に用意されていますので下に貼っておきます。 1分18秒の動画です。

Jot Touch | Bluetooth Pressure Sensitive Stylus for iPad 2 & iPad 3

このJot Touchは米国のadonit社がデザイン・開発を行った スマートフォン・タブレット用タッチペン Jotシリーズ の第5弾で市場から考えてiPadを主にターゲットに想定した商品と言えます。

本来iPadの入力検知機能からして筆圧感知は実現の難しいものでした。 iPadの入力検知は 静電容量方式[K2] に依っているからです。 これは画面に指で触れると発生する微弱な電流、 つまり静電容量(電荷)の変化をセンサーで感知してタッチした位置を把握する方式で、 その強弱迄は検知が難しいのでした。 従って今迄Jot Touchに類似の商品は仄聞にして聞きません。

これに対しサムスン社のGalaxy Noteはワコム社の電磁誘導方式[K2] を採用しています。 この方式では専用のスタイラスペンを必要とする代わりに 精度が高い上に筆圧感知が可能なのでした。 即ちユーザーの操作に忠実でユーザーは感覚の再現度が高い印象を受ける方式なのです。 これが同製品がグラフィッカーに注目度が高い理由です。

Jot Touch公式ページにはiPadの対応アプリも以下の様に列挙されています。

  • Procreate(英語版のみ)
  • SketchBook Pro
  • ArtRage
  • Sketch Club(英語版のみ)
  • Clibe(英語版のみ)
  • DeepSketch(英語版のみ)
  • ArtStudio(近日対応予定/英語版のみ)
  • Animation Desk
  • Scribble(近日対応予定/英語版のみ)
  • PDFpen

孰れもドローイングアプリとして定評を得ている なかなかツボを得たアプリ群と言えるのではないでしょうか。 Animation Desk などは誰もが一度は教科書の隅に書いた覚えがある筈の パラパラアニメを実現するアプリ[※1] ですがなかなか楽しいアプリですし、 このJot Touchを得ればその魅力は弥増すでしょう。

タブレット市場を支配しているiPadに於いても絵を描こうとしたときには 矢張りその環境は不満の残るものだったのは確かでしょう。 それが嵩じてGalaxy Note陣営に鞍替えするユーザーも多いと思われます。 しかしJot Touchを得たiPadは、Galaxy Noteにその分野に於いて一歩近付いたと言えます。 ユーザーに取っても選択肢が広がるのは決して悪いことではありません。

近頃はスマートフォンメーカーとして市場に法廷に鎬を削る両者ですが、 Galaxy Note 2を発表してグラフィッカーに訴求する面に於いて 更にアップル社を突き放そうとするサムスン社に対し iPadはJot Touchと言う力強い援軍を得たようです。

追記(2019年9月28日)

本記事で紹介以来改善を重ね、 パームリジェクション機能を追加し、Bluetooth® 4.0に対応するなどの進化を以てバージョンも4を数えた Jot Touch シリーズですが、 現在では販売を終了しています。 アップル社自らが純正スタイラスペンである Apple Pencil の販売を開始する状況の中ではなかなかサードパーティ製のスタイラスペンは厳しい環境下に置かれるのかも知れません。 プリンストン社ではしかし其の様な状況下、様々な用途に応じた タッチペン を現在でも提供してもいます。

かたむき通信参照記事(K)
  1. グラフィッカー待望のGALAXY Note II 遂に独国IFA2012に登場!(2012年9月1日)
  2. タッチパネルに於ける静電容量方式と電磁誘導方式の違い~ワコムCintiqとGalaxy Note(SC-05D)(2012年7月15日)
参考URL(※)
  1. アニメ作成iPadアプリ「Animation Desk for iPad」(Acenumber Technical Issues:2011年6月17日)
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