一時期、時価総額経営が話題になり、 ソフトバンクや前ライブドアなどが取り上げられました。 企業価値は決して其ればかりで判断されるものではありませんが、 一つの重要な指標であるのは確かです。
この時価総額に於いて、 嘗てはIT企業と言えばマイクロソフト社が抜きん出た数字を示していました。 しかし故スティーブ・ジョブズ氏の復帰からiPhoneの大成功で アップル社がマイクロソフト社を抜き去り、 遂にはITバブル真っ盛りの1999年にマイクロソフト社が記録した時価総額記録をも更新してしまった[K1] のは記憶に新しい処です。
そのマイクロソフト社が昨日2012年10月1日遂にGoogleに迄、 時価総額に於いて抜き去られるという状況になったのはBloombergの本日伝える処[※1] です。 Googleの時価総額は2499億ドル、本日のレートで日本円換算すれば約19兆5,000億円、 マイクロソフトの時価総額は2472億ドルで同じく約19兆2,900億円と、 約2,000億円程の差となっています。
このGoogleはIT企業に於いては現在時価総額2位、3位がマイクロソフトとなり、 では首位は何処であるかと問われれば謂わずと知れたアップル社です。 前両社と同時点での時価総額は6181億ドル、即ち48兆2,300億円と 記録更新時の6235億ドルよりは低くなったものの相変わらず圧倒的な数値を示しています。
これらIT企業時価総額上位3社はPC(パソコン)であり、OS(基本ソフトウェア)であり、 インターネット事業でそれぞれ絡み合うように事業を展開しています。 此処に於いて如何にして現時点での追い抜きが起こり、差が付いているのか、 それこそ正しく ポストPC 事業にあると言えるでしょう。
ポストPC時代、即ちこれからのIT作業を
そこに先行するのが携帯電話の世界を一変せしめ 未だスマートフォンの代表機器であり、 その新型は瞬く間に全世界で500万台を売上げてなお、未だ需要を満たし切らない iPhoneを擁するアップル社でした。
Googleはインターネット生粋の企業でしたが
それだけにポストPC時代の兆しとしてのモバイル事業には敏感でした。
時代に対応せんと世に送り出したのモバイル端末を強く考慮したOSである
前両社にマイクロソフトは遅れを取りました。 モバイル対応は最も早い時期から進められていたにも関わらず、 余りにも主事業のOSが寡占状態にあったために それこそイノベーションのジレンマで方向転換が難しかったのかも知れません。 出すもの出すもの、全て失敗に終わりました。 そして相当な危機感を孕む此処に来て遂に重い腰は上げられ、 同社の命運を握る新OS、Windows8は強くポストPC時代を意識したもの[K2] になっています。
そして最もポストPC時代への対応の差が顕現するのはタブレット端末に於いてでした。
タブレット端末への対応とその効果が現在、
その明暗を分けていると言っても良い様相を呈しているのです。
それを明確に表す言及がアップル社の2012年9月21日の製品発表会に於いて
CEOの
発表会ではアップル社の現状説明があり、 その中にiPadも含まれていたのですが、 手前味噌にしてもそれは衝撃的な内容で時価総額の差を説明して余りあるものです。
iPadの初代機が発売されたのは2010年5月28日[※3]でした。 それから僅か3年にも満たない2012年9月時点でその累計出荷台数は8400万台を数えます。 iPadはスティーブ・ジョブズ氏に拠る衝撃的なプレゼンテーションと共に世に送り出され、 熱狂的に受け入れらた訳です。
競合他社がこの新たに生まれた新市場を指を咥えて見ている筈がありません。 従来デスクトップPC、ノートPCを製造していたメーカーが軒並み追随しようと 手を変え品を変え世に送り出されたタブレット端末は数百種にも至り、 しかしそれは死屍累々、屍の山を築いただけてあったのは、 クック氏のプレゼンに於けるiPadの市場シェアを見れば明瞭です。 2011年4月から6月の3ヶ月においては62%の過半以上のシェアを、 Google社のOSを利用したAndroidタブレットが続々と登場した翌年2012年4から6月の3ヶ月には 68%とOSの安定、種類の増加にも関わらず 他のタブレット端末はシェアを落としている始末なのでした。 更にトラフィック、即ち購買された端末の利用度では iPadは何と91%もの寡占的シェアを有しているのでした。
斯くしてアップルはGoogle、マイクロソフトに現在、時価総額に於いて 追随を許さない差を付けており、 モバイルOSの代表となったAndoroidを有するGoogleと プレモバイルOS時代の覇者マイクロソフトが並び続く状況となっているのでした。 此処に至ってはポストPC時代へ舵を早く切った者が勝利するのは明らかとなり、 基本的にソフトウェア企業である両社が遂にハードウェア領分に足を踏み入れたのは かたむき通信にも伝えた処[K3] です。
Google社のNEXUS7、及びマイクロソフト社のSurfaceは 両社のポストPC時代に於ける位置付けを占う重要な端末であることが、 従って言えるのです。 アップル社クックCEOのiPhone6の発表に於いて 如何なるプレゼンテーションが為されるのかが今から楽しみです。
かたむき通信参照記事(K)- アップル社によるマイクロソフト社時価総額世界一記録の更新を見る(2012年8月21日)
- マイクロソフトの賭けSurfaceがWindows8と同時10月26日発売決定(2012年7月30日)
- ネクサス7登場~ハードウェア市場に舵を切る巨大ソフトウェア企業(2012年9月25日)
- Google Passes Microsoft's Market Value as PC Loses to Web(Bloomberg:2012年10月2日)
- 米アップル ティム・クックCEO: 「ほかのタブレットは、一体なにをしているんだ」(アップルCEO)(ASCII.jp×ビジネス:2012年10月2日)
- iPadって何?(Acenumber Technical Issues:2010年9月16日)