揚り畑遺跡~四国に相次ぐ弥生大規模集落の発見

四国の地に西日本屈指の規模を誇る田村遺跡が更にそれを拡大させる様相を呈す旨、 かたむき通信に伝えたのが昨日のこと 〔K1〕 でしたが、ちょうど並行するようにもう一つ四国内には大規模な弥生遺跡の発掘が進んでいました。 弥生時代中期から後期のものと推定される愛媛県東温市の 揚り畑あがりはた) 遺跡です。

地元メディアの愛媛新聞に東温市教育委員会が21日、 この大規模集落が発見された旨公表したのが伝えられ 〔※1〕 実は発掘は1996年から既に6回に及んでおり、 今回の発見は予見されていたものとされています。 その大規模たる物証は発掘該当地の5m×220mに限っても 9棟もの竪穴式住居が密集しているものです。 下には参考に吉野ヶ里遺跡の復元建造物ですが 竪穴式住居の写真を掲載しておきます。

Yoshinogari Site(吉野ヶ里遺跡)

この発見については2012年12月21日に現地説明会の実施の告知のために 東温市ホームページ 内の東温市立歴史民俗資料館に於いて 揚り畑遺跡第7次調査現地説明会の開催について と題されたページには2012年12月26日本日の時点では削除されているものの 以下のような文章が用意されていました。

現在、東温市教育委員会では、ふるさと交流館 さくらの湯西側で「揚り畑遺跡(あがりはたいせき)第7次調査」を行っております。

今回の発掘調査では、直径約9mの工房跡と考えられる大型住居(弥生時代中期)や多数の竪穴住居が見つかり、揚り畑遺跡が大規模な集落であったことが分かりました。

この他にも弥生土器や、県内最古の動物形土製品(弥生時代中期後葉:1点出土)、分銅形土製品(2点出土:内1点は左写真)など、珍しい遺物も見つかっています。

そこで、発掘調査の成果を報告する現地説明会を下記の通り開催いたします。 この機会に、身近にある遺跡をのぞいてみませんか?

この文章の下には日時と場所と問い合わせ先が記されていましたが、 平成24年12月23日が説明会当該日で本日には既に過日となってしまったため 無用な問い合わせを避けるため当該ページが削除されたものかも知れませんので この情報は此処に記すのは控えておきます。 若しそうであったとすれば全体的なホームページの作りも含めて 東温市のWeb対応、認識の甘さに些か残念な思いもします。

今回のこの発見に於いては直径9mにも及ぶ大型の竪穴式住居も見付かっており これが工房跡と目されるのは石器の材料と思われる多量の石の発見は固より、 恐らく其の発掘物に所以するでしょう、既に愛媛新聞に先月配信された 分銅形土製品 の発見 〔※2〕 及び、読売新聞に頃日配信された何某かの動物頭部を模したと思われる 直径僅か2cmほどの土製品の発見 〔※3〕 に由るものでしょう。

前者は人型と言うには角ばった形状のものが二つに割れて発見されたもので 四国にも松山、西条、今治などに類例が見られますが 一体化出来るものは極めて珍重なのだそうです。 後者は鳥だの、犬だの、鹿だの言われ正体不明とされているのは なかなか全く好い加減なもので学者さんも微笑ましいものです。 これ等は共に祭事に用いられたものだと推定されています。

謎多き弥生から古代に掛けてのお話ですから 謎が謎を呼び、正直分かっていないことの方が多い状態が露わになるばかりですが 其れもまたこの時代の醍醐味と言うものでしょう。 揚り畑遺跡もこれから更に発掘が進み検討が重ねられ 様々な事柄が浮かび上がってくるものと思われます。

例えば突拍子もない話ですが長い間議論喧しい 邪馬台国論争 もこれだけ大規模な弥生の遺跡が並行して発掘が進むのを見るに及んで 集団として組織立てば相当な勢力となるのは間違いない処で、 若しや若しやに、四国に存在したかのような気もしてくるものです。 勿論邪馬台国が四国に比定され得る可能性はほとんどないものでしょうが、 机上に書物ばかりに頼った高所からの論争ではなく、 この如きフィールドワークからボトムアップで持ち上がる物証を以て 更に古代論争が高まれば良し、混迷が深まるのもまた一興かに思い、 密かに望む処であったりもします。

使用写真
  1. Yoshinogari Site(吉野ヶ里遺跡)( photo credit: Dick Thomas Johnson via Flickr cc
かたむき通信参照記事(K)
  1. 拡大する日本最大級弥生遺跡~高知県田村北遺跡発掘調査成果公開(2012年12月25日)
参考URL(※)
  1. 東温に弥生大規模集落 竪穴住居跡確認(愛媛新聞ONLINE:2012年12月22日)
  2. 東温で分銅形土製品を発掘、祭事用か(愛媛新聞ONLINE:2012年11月9日)
  3. 弥生の動物型土製品・・・東温・遺跡で出土(YOMIURI ONLINE:2012年12月22日)
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