携帯キャリアの所謂 2年縛り に怒りを覚えているのはどうやらユーザーばかりではないようです。 その怒りを露わにするばかりか実際に抗議のための新規利用規約を定めたのが 日本通信株式会社 です。
同社は自前の携帯通信網を所有せず、 大手通信事業者を利用して移動通信サービスを提供する MVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者) を業務形態とする1996年創業のベンチャーです。 主力商品の bモバイル はかなり多くの人に知られるようにもなりました。
同社は不健全な大手携帯事業者の料金体系に怒りを覚え、 業界健全発展の正義の抗議をするために今年2012年春、3月22日にプレスリリース 日本通信、携帯キャリアの過度なMNPインセンティブに対する公開抗議 を配信していました。 リリース内の問題点としてある部分を以下に引用します。
携帯キャリアは、事業者間競争が激化する中、 MNP(携帯電話番号ポータビリティ)による転入に対して、 キャリアショップ等と連携して1回線あたり3万円から7万円程度のキャッシュバックを支払っています。 一方、当社は、音声付きSIMサービスの中に、最低利用期間がないものを設けています。
ところが、この状況を利用することにより、 最低利用期間がない当社のSIMを申し込み、直後にMNPで携帯キャリアに移動し、 それを即座に解約することで、 1回線あたり数万円のキャッシュを手に入れることができてしまいます。
日本通信としては全く損害はない取引なのですが 余りに不健全なこの取引を誘発する仕組みに義憤を感じ そうはさせじと自社に1年縛りを設けたのでした。
何となればこの仕組みで損害を被るのは誰あろう、 結局割高な料金を毎月支払わされる勘定になる ロイヤリティも高い本来は優遇されるべき長期ユーザーであるからです。
このようなユーザーは引っ掛かるものを感じながらも 普段は2年に1ヶ月だけ訪れる織姫と彦星の逢瀬より頻度の低い解約月を 生活の忙しさから遣り過ごしてしまうままとなっています。 釣った魚に餌など遣るか、とばかりに携帯キャリアに思い切り馬鹿にされている訳ですね。 そして人を食って掛かる連中は腹立たしいことに 要領が良いだか何だか分からないお調子者の浮気者に色目を使っているのでした。
此処では2年縛りと言っていますが、 最初の解約月を過ぎて3年目に入れば自動更新で、 依然違約金が付いて回りますからこんなものに 2年縛りなどと言う名も腹立たしい、 最早奴隷契約を強いていると言っても過言ではないでしょう。
NTTドコモなどはあろうことが長期優良ユーザーに還元しないばかりか 2年縛りを押し付けたままでお願いしてもいない ネットショップとやらを始める始末です。 (かたむき通信2012年7月13日記事 NTTドコモが通販事業本格進出で目指すアマゾンコムとの企業体質の比較 参照)
此処に日本通信が立ち上がったのでしたが昨日2012年7月19日に 日本通信、音声付きSIMサービスで最低利用期間を撤廃 とこれを取り下げるニュースリリースを配信しました。
これについては同社は一定の成果を得たとしかリリース内には述べませんが どうやら読売オンラインの2012年7月19日のニュース au誰でも割、解約金は違法…条項差し止め命令 (2019年7月23日現在記事削除確認)にあるようにKDDIに対し一矢報いたことがあったのが大きいようです、 となればユーザーに不便を強いる1年縛りは不必要との判断でしょう。
未だNTTドコモなどは類似の裁判で係争中との話しも耳にしますが、 ベンチャーがこのような姿勢を示しユーザー本位の考えを貫くことを鑑みても 悔い改めるべきでしょう。