ポリマテック倒産~世界を変えたiPhoneの思わぬ影響

電子電気機器用のポリマーパーツの製造並びに販売を事業として営む ポリマテック株式会社 は創業が戦後間も無い昭和22年、西暦1947年、 社歴65年を誇る老舗ですが今回残念ながら倒産の憂き目にあってしまいました。 同社からは正式にプレスリリース 民事再生手続開始の申立てに関するお知らせ がPDFファイルで配信されています。 同社が東京地裁へ民事再生法の適用を申請したのは2012年7月30日、 同日中に保全命令を受けました。 負債総額は200億円を超えるものとなりました。 〔※1・2〕

同社がコアコンピタンスとしていた ポリマー とは一般的に高分子の有機化合物を指し、 接頭語にポリの付く素材、例えば ポリエチレンポリカーボネートポリプロピレン などがその仲間です。 どんなものなのかは良くは分からなくても製品に素材として印刷されていたりして 名前はしばしば目にするもので、 それぞれ生活に必需品となっている材料であるのは実感できる処です。

ポリと接頭語は付きはせずとも、 ABS樹脂 もその仲間で、その性質、機械的バランスの良さから OA機器から自動車の内外装品、ゲーム機に建築室内用部材から 雑貨、文具などにまで幅広く用いられている素材です。 〔※3〕 電子・電気機器全般のハウジング用途にも多く採用され、 ポリマテック社でも多く扱うところだったのではないでしょうか。

電子、電機機器のポリマーパーツ市場でも同社は 携帯電話用のキーパッドに大きなシェアを有していました。 そんな同社に取っては去年2011年スマートフォン元年は 悪夢のスマフォショックとでも言うべき事態でありました。 なんとなればそこに従来の携帯電話のようなキーパッドは失われていたからです。

誤解を恐れず言えば現在のスマートフォンは総てアップル社のiPhoneの模倣です。 iPhoneは文字通り世界を変えました。 人々のライフスタイルを根底から変える影響力をその小さな筐体に有していたのです。 その一つは携帯電話からのキーボタンの排除でした。 正しくポリマテック社はその直撃を受けた訳です。

需要がこうして目に見えて減じている中、 更に間の悪いことには去年3月11日には東日本大震災で工場を被災してしまいました。 更に更にまるで同社を狙い打ったかのようなタイの大洪水、 此処でも同社工場は被災してしまったのです。 これだけ悪条件が重なれば凡そ企業体力が保てる筈も有りませんでした。

今回は敢無く倒産となったポリマテック社ですがリリースには 裁判所及び監督委員の指導監督のもと会社再建に向けて全力を尽くすと謳っています。 ポリマーパーツの広い応用範囲を鑑みれば再建の可能性も低くなく しかしその際には時代が何を欲しているかの洞察が経営に欠かせないものとなるでしょう。 フィーチャーフォンからスマートフォンへの移行は劇的で なかなか大きなシェアを握っていれば その変化に合わせ舵を切るのは難しいものであったのは容易に推測出来ます。 その際、懸念となるのは同社のホームページの作りがかなり古いことです。 これではスマートフォン時代に対応出来ないのも宜成る哉と思わされます。 些事かも知れませんが経営再建には斯様な部分も気を付けられたく思うのです。

参考URL(※)
  1. 電気機器用ポリマーパーツ製造ポリマテック株式会社民事再生法の適用を申請負債203億7900万円(帝国データバンク:2012年7月30日)
  2. ポリマテック(株)~東日本大震災で工場が被災 タイ洪水の影響も~(東京商工リサーチ:2012年7月30日)
  3. ABS樹脂の物性と用途、特性について(砥石と研削・研磨の総合情報サイト:2011年6月17日)
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