手持ちの書籍が不要になった際などに 一旦アマゾンのマーケットプレイスを利用すれば その人はその販売力に驚かされることになるでしょう。 これによって人々はわざわざインターネット上にネットショップを構築する迄もなく ネットで書店を商うことが可能となる訳です。
勿論アマゾンは既存の書店に道を閉ざしてはいません。 従って多くの書店、古書店をリアルに商う人々も アマゾンのマーケットプレイスに集うようになって来ています。
ご存知の通り元々アマゾンは書籍のネットショップでした。 現在は様々な商材を品揃えして来ておりその影響力は漸増し家電量販店でさえ無視出来ない[K1] 処迄来てはいますが最初は書籍小売だったのでした。 従って現在でも主力商品として新刊書籍は大量に扱われています。
詰まりアマゾンは今や 新刊書籍から中古本に、古書、 それを商う専門家から素人迄と本に留まらない一大市場を形成しているのでした。 NTTドコモがアマゾンを目指そうとも[K2・3] 胡乱な印象が免れ得ないのは、 以上の如き事情があるからでもあります。
このアマゾンの如き一大市場の形成を食材に於いて担おうと目論む企業の在るのが Chikirinの日記 に紹介[※1] されています。 それはレシピサイトの最大手、主婦ならばご存知でしょう クックパッド なのでした。 ちきりんさんはネットの場合は市場は プラットフォーム とも呼ばれるとし、野菜のプラットフォーム構築をクックパッドが目指している旨、紹介します。
記事で述べられるように考えてみればネットモールと銘打つ 楽天市場 もプラットフォームです。 多くのネットショップが軒を連ねる楽天市場は正しく商売の場を提供している、 即ち楽天はプラットフォーマーとして機能しています。
ネットショップが好んで楽天に参加するのは勿論売り上げの見込めるからこそで、 アマゾンのマーケットプレイスの参加者にしてもそれは同じです。 弱小の組織、個人では適わない集客をこそ其処に期待しているのは確かです。 言ってみれば商材を所有する一方と顧客たる一方の引き合わせの場として プラットフォームには確かな存在理由が在るのです。
クックパッドはレシピサイト最大手として膨大なアクセス数を有するのは周知の処です。 加えてその主なターゲットは毎日の献立に頭を悩ます主婦に違い有りません。 最早巨大な食材市場としての潜在能力は明らかです。 大きな過誤さえ無ければ成功は孰れ明らかなものとなるでしょう。
以上の如き状況を見て来ると 恐らく今後はプラットフォームがネット上での売買の 主役の座に躍り出てくるのではないだろうかと思われるのです。 書籍に於いても、ネットモールに於いても、食材に於いても ネットで販売しようとしたとき最早プラットフォームは無視出来ず、 この商材は更に広がるのが容易に予想されます。
どのようなカテゴリーがネット販売のプラットフォームとして機能するのか、 それを見極め参入した企業が競合、淘汰され 徐々に様々なプラットフォームが整備されて行くのではないでしょうか。 そしてネット販売を考える人物は、 先ずどのプラットフォームを採用するのかを考えるようになるものと思われます。
すると今後様々なプラットホームが充実した時、 従来のネットショップはどうなって行くのでしょうか? 縮小して行くのは避け得ないのではないかと思われます。 しかしすべて消えてなくなることはないのではないかとも思われます。 イオンやヨーカドーの如き大流通が発達しても 消えてなくなるのは中途半端な規模の流通でしたし、 返って地域に根ざした小規模スーパーや、 商材を特化した商店などは成長しています。
現在見られる思い思いに構築されたネットショップはそのままの姿では生き残りは難しいでしょう。 しかしリアルの現在を鑑みた時、 若しかしたらその代表的な形態は道の駅[※2] などに見られる直売所のような存在になるかも知れない、 と夢想してみたりもするのです。
追記(2018年7月11日)
本記事にプラットフォーマーの一角として登場したクックパッドがネットショップに具体的な一手を打ちました。 毎日が楽しみになる食材店 と銘打ったサービス クックパッドマート を昨日、2018年7月10日に発表したのです。 クックパッド社本サイトではニュースリリースも公開[※3] されており、一瞥すれば当該サービスは専用のスマホアプリから評判のリアル店舗の新鮮な食材を当日に購入出来ると言うもので、 一品でも注文が可能な上に送料無料でもあるとされています。 加えてサービス側が設置した 受け取り場所 であれば任意の時間に受け取られるともされていますので最寄りに住いの場合は至便此の上ないサービスとなることが予想されます。 当該サービスの開始は今年2018年夏と言いますから程無く、東京は渋谷区、世田谷区、目黒区の一部地域から提供を開始するとされています。 プラットフォーマー同士の競争も激しくなる中で際立ったサービスが求められるに応じたクックパッド社のネットショップと産直を織り交ぜた新サービスを鑑みれば、 愈々、小規模ネットショップも存立基盤を脅かされ兼ねない事態が招かれ、 根本的な自己改革を含むプラットフォームへの対応策実施が求められる様です。
かたむき通信参照記事(K)- 家電量販店業界再編に影を落とすAmazonコムの脅威(2012年7月16日)
- NTTドコモがタワーレコードを子会社化しEコマース事業進出を目論む(2012年6月11日)
- NTTドコモが通販事業本格進出で目指すアマゾンコムとの企業体質の比較(2012年7月13日)
- 市場を作るということ(Chikirinの日記:2012年9月20日)
- 道の駅概要(国土交通省道路局)
- クックパッド、生鮮食品ネットスーパー「クックパッドマート」発表! 2018年夏に東京の一部地域よりサービス提供開始(クックパッド株式会社:2018年7月10日)