名刺交換が好い味を醸し出すのもこの番組の好印象度を上げているでしょう。 フジテレビ系に大人気のテレビ番組 ほこ×たて[追] です。 2012年11月11日の放送では名刺交換は愛知県大府市の 株式会社新居浜鉄工所 と東京都世田谷区 フジコーワ工業株式会社 の担当者同士の間で交わされました。 場所は新居浜鉄工所のある愛知県大府市、 新居浜鉄工所従業員、独自の横断幕を掲げた精鋭のプロテックス応援団、 そして愛知県知事と大府市長も駆け付けた群集の中央での名刺交換です。 例に依って大人同士の丁寧な言葉使い、振る舞いの裏側では 既に激しく火花が散っています。
今回の対決アイテムは互いに業務用ながらその大きさは大きく異なります。 新居浜鉄工所が用意したのは其の名も ライオンシュレッダー 、シュレッダーと聞けばよくオフィスに常備される紙をバラバラにするものを想像しますが、 これは然にあらず、何しろその巨大さは操作するのに 人間が階段で上り下りしなければならないのです。 対するフジコーワ工業が用意したのは其の名も プロテックスNEO 、同社製品にプロテックスシリーズがあり、 これを強化してNEOを名に冠したものです。
フジコーワ工業は日本で唯一軽くて丈夫な樹脂製のハードケースを製造・販売している企業で そのハードケースなるものは一見するとスーツケースの様な形状ながら 中を見れば衝撃を和らげる緩衝材が敷き詰められており、 外側は強固な素材で中のものを守ってナンボ!と言う商品にて、 カメラや計測器などの精密機械を運ぶためのケースとして重宝されているのでした。 プロテックス は同社を代表するハードケースのブランドなのです。 これとシュレッダーとの対決となれば必然的に ハードケースの中身をシュレッダーから守れるか否かとなるのはお分かりでしょう。 以降ネタバレありますのでDVDやVTRを楽しみに待つ向きはお控え下さい。
新居浜鉄工所は工業用シュレッダーの開発・製造を主業務とする企業で その製品はごみ処理場などで粗大ごみや産業廃棄物を処理するのに用いられます 従って家庭用や事務用品のシュレッダーとは名前こそ同じなれど構造も寸法も大きく異なります。 担当者は同社の設計者でもありその人物が最も信頼するシュレッダーこそ ライオンシュレッダーなのでした。
上に向けて大きく開口した中を覗き込めば見るからに恐ろしげな2本の腕が不気味に回転します。 2本の腕には計21枚の特殊合金の刃が巻かれており、 厚さ7cmの刃が口に落とされた物体を掴み食い付き巻き込んで粉微塵にしてしまうと言う代物です。 刃の一つ一つにライオンの牙をモチーフとした5つの突起があるのが名前の由来で 2本の腕に互い違いに歯車が噛み合う様に互い違いに組み込まれた刃で ボーリングの球のようなまん丸のものでもがっちり挟み込む破砕してしまいます。 一つ一つの爪に掛かる力は担当者の述べるに何と50t! タイヤなどあっと言う間、自転車などひとたまりも無く、 業務用の大きなステンレス製冷蔵庫さえ粉砕してしまう構造となっています。
対するプロテックスNEOはその素材は最強のカーボンファイバー製、 即ち炭素繊維を特殊な樹脂で固めたもので鉄の7倍の強度とも言われ 近年ジェット戦闘機やF1カーのボディに採用される素材でもあります。 ワイングラスを収めたプロテックスNEOは屈強な6人のプロレスラーによってたかって打たれようとも 4tトラックが凡そ50km/hで衝突しようとも 高所作業車の25mの高さから落とされようとも中を開けば 最初から何事もなかったように其処に収まっているのでした。
遂には番組スタッフはプロテックスNEOを射撃場へ持ち込みました。 しかしハードケース向けてライフル銃で狙撃、時速800kmで放たれた弾丸からも プロテックスNEOは中身の風船を見事守って見せます。 更には爆薬を用いればハードケースの代表たるジュラルミンケースは ひとたまりもなく中身のワイングラスともども粉々となるものの NEOは多少ケースが凹んだだけで中のワイングラスを無事守ります。 ではハードケースの中に爆薬を仕掛けたら?の試みに此処でも ジュラルミンケースは木っ端微塵とされるもNEOはちょっと跳ねただけで済んだのです。 それもその筈、実はこのケースは爆薬を安全に運ぶために使われることもあるのでした。
見るものを威圧するかの如き佇まいのライオンシュレッダーにも不安要素はあったようです。 それは軽量のものは人の手で刃に押し付けないと刃に掛からない点と、 強力に硬いものを粉砕する際には安全装置が働き刃が止まることがある点にありました。 この弱点を克服するため新居浜工業が考案したのがアニメのエヴァンゲリオンに由来する ヤシマ作戦 です。 即ち、工場の工作機械の電力をすべて止めライオンシュレッダーに集中して 従来の倍以上にパワーをアップさせようと言う狙いで地元の利を活かしたものと言えるでしょう。
ルールはワイングラスの入ったハードケースをシュレッダーにセットし 5分経って中のワングラスが壊れたか如何かで勝敗を決すると言うものです。 新居浜工業はヤシマ作戦を午後2時に開始、工場の電気は全て消えています。 勝負開始です。
勝敗は思ったよりあっけなく決まりました。 最初は軽い素材の為シュレッダーの刃の巻き込まんと回転する上でコトコト回っているだけで このまま逃げ切るかと思われたプロテックスNEOでしたが、 あらゆる物体を粉々にするために刃の噛み合う間隔を適当に変えてある ライオンシュレッダーの牙に一瞬摑まったかと思った途端、 ハードケースはあっと言う間に飲み込まれ始めたのです。 プロテックスNEOは悲惨にも粉々になって吐き出されたのです。 プロテックス担当者はこの結果を受け、良い課題を与えられたと口を結んび、 更に強いケースを作るだけ、とその決意も新たにしたのです。
さてプロレックスNEOは残念ながら敗れはしたものの判官贔屓ではありませんが、 フジコーワ工業株式会社、なかなかに応援したくなる製品がそのホームページの プロテックス製品一覧[追] を閲覧すれば掲載されています。 上にも記したように日本で唯一の樹脂製ケース製造販売メーカーとなれば応援したい処です。 しかもこのフジコーワ、創業110年を閲する老舗なのでした。 同社を代表するプロテックスにも需要、用途に合わせ大小さまざまな商品が作られており、 その製法はすべて職人に依るハンドメイドで、 官公庁御用達の信頼の高いハードケースでもあるのです。
キャリングケースにバイクコンテナ、防水ケースなど多岐に渡るプロテックスは
鬼怒川パシフィック株式会社
との共同[追]
で
このように信頼の厚いプロテックスブランドは 前身の興和工業株式会社時代より、金属製コンテナを製造し、 ノウハウと技術を積み重ねて来たフジコーワ工業が パーソナルな機材の搬送コンテナのために立ち上げたブランドなのです。
さてフジコーワ工業の製品ラインナップを見て見れば ちょっとIT関係者が惹かれる商品が用意されているようです。 其の名も今風な SmartaBook はPCケースなのでした。 現在デジタルモバイル機器は軽量化、薄型化する一方で 1kgを切るノートパソコンも珍しくありません。 更にはiPadを始めとするタブレットタイプもシェアを伸ばしています。 これ等新しい時代の要請に合わせたのがこのアルミアタッシュシリーズのSmartaBookで、 15インチ、13インチ、iPad用が用意されています。 フジコーワ工業の製品ですからそこは中のデジタル機器の安全は保証されるのは或る程度前提として、 其の上で何よりスマートさが追求されその薄さは25mmという業界最薄の数値を達成しています。 同社が主張する通り正しくアタッシュケースの常識を覆した商品と言えるかも知れません。 薄型ノートPCやiPadの主勇者にはちょっと堪らないアイテムと言えるのではないでしょうか。
勝負には負けてしまったフジコーワ工業ですが、 ほこ×たてには毎度のことながら負けた側にもその商品の優秀性は確り伝わるものでした。 銃で撃たれても爆薬が爆発しても大丈夫などトンでもないケースであるのは確かです。 最後に見付けた同社のホームページにあるSmartaBookのPCケースが頗る魅力的で アルミ素材ではなく番組で紹介されたカーボンファイバー素材のものの 登場を期待する向きも多いように感じられます。
追記(2019年8月14日)
2013年10月20日放映分の
やらせ
問題で「ほこ×たて」が打ち切りとなってしまった旨、本ブログの2012年11月6日の記事
酸素アーク工業シャープランス対ムアン株式会社コールドファイヤー
に追記しました。
また、
フジコーワ工業株式会社の「プロテックス製品一覧」ページは以前と異なり、
現在では独立したドメインのネットショップ
PROTEX SHOP
となっています。
鬼怒川パシフィック株式会社の