消えるサンヨーブランド~デジカメもアドバンテッジパートナーズに売却か

テレビ事業に於いて大きく躓いた国内電気メーカーの凋落振りは残念ながら留まる所を知らず かたむき通信にもその代表的なシャープ社の復帰への模索を伝え 〔K1〕 格付けを下げられたソニーには不審な影が忍び寄り 〔K2〕 そのソニーはVTR普及の時代には犬猿の仲であったパナソニックと互いに手を結ばざるを得なくなり 〔K3〕 その国内家電メーカーの筆頭たるパナソニックは発表される製品に頓珍漢さが否めない 〔K4〕 のは事態の深刻さを象徴しているのかも知れません。

国内電機メーカーはこの代表的3社に留まらず苦境に喘いでいるのでしたが サンヨー 社もその例に漏れず状況悪化からパナソニックに支援を求め今やパナソニックの子会社たる 三洋電機株式会社 となったのは記憶に新しい処です。 サンヨーは家電メーカーの構造的な問題にバブル崩壊、リーマンショックより打ち続く不況、 また阪神大震災、東日本大震災は勿論、特に 新潟県中越地震 に大変な損害を被り、天災の影響は大きく同社経営に圧し掛かるものとなっていました。 このサンヨーに助け舟を出したのがパナソニックでした。 創業者 井植歳男 氏は義兄の 松下幸之助 氏から暖簾別けの如くしてサンヨー社は設立されましたから 今艱難辛苦に立ち向かうに再び兄弟手を取り合った格好ともなったのでした。

Adverts at Piccadilly Circus

統合なった当初はサンヨーブランドは維持されるのではないかと期待されましたし、 パナソニック側もそのように考えていたのが伺える状況でしたが時代が許しませんでした。 今やパナソニックさえ自身が生き残りを賭け必死にもがく状況下にもあります。 新製品としてのサンヨーブランドはパナソニックの完全子会社として 統合される前日の2011年3月31日を以て出荷されることはなくなりましたが サンヨー十八番の白物家電は結局売却され自社屋からも系列ショップからも サンヨーの看板は取り外されるのを余儀なくされたのです。

そして一昨日は2012年12月12日、大手メディアが挙って伝えたのが サンヨーのデジカメ部門が投資会社の アドバンテッジパートナーズ に売却されると言う事案でした。 サンヨーのデジカメ事業は自社ブランドでこそ世には出ないものの 複数企業へOEMとして提供されていたのです。 パナソニックのデジカメと言えば ルミックスLUMIX) ブランドが知られていますがサンヨー出自のデジカメ部門はこの部門とは統合されてはいなかったのです。 穿ってみれば孰れの売却が早い時期から検討されていたのかも知れません。

この一連の報道に対してサンヨーからは 否定的なニュースリリースが同日中に配信されました。 〔※1〕 報道内容は当該社が公表したものにはない旨のリリースです。 しかし過去は2005年にも白物家電に於いて撤退の報道を否定するコメントを 当該社は配信していながら大筋報道の齎した情報の通り推移した経緯もあり なかなか一概に確定的な所見の得られない処です。

デジカメ事業が売却されるとなれば最早残る強いサンヨーブランドは eneloop(エネループ) のみとなるでしょうか、 根強いファンの在る様子はネットにも屡々垣間見られますから、 そうなると矢張りヒット商品は強い 〔K5・6〕 ものだと思い知らされますし、企業の存続には必須と思わされもするのです。

追記 (2012年12月17日)
淡路島に電池ベンチャー Amaz技術コンサルティング を設立した元三洋電機の技術者 雨堤徹 氏へのインタビュー記事 コンサルタントになって痛感した日本メーカーが勝てないワケ(日経ビジネスオンライン) が掲載されています。 ブランドは潰えても人は生きています。

追記 (2012年12月21日)
サンヨーのデジタルカメラ及びデジタルムービーカメラ事業を展開する 三洋DIソリューションズ株式会社の全株式を AP26 (アドバンテッジパートナーズ出資の特別目的会社株式会社)が2013年3月31日付けで 譲渡を受ける旨合意に至ったとするプレスリリース デジタルカメラ及びデジタルムービーカメラ事業の譲渡について が2012年12月21日付けでサンヨーから配信されました。 本記事の内容が概ね事実となり、タイトルからは疑問形が消えたものが正しい形となります。

追記 (2015年3月13日)
三洋の引受人となったパナソニック公式サイト内の2015年3月11日付け三洋電機株式会社ニュースリリースには 〔※2〕 2015年3月31日付けでサンヨーブランド最後の生産子会社となる 三洋テクノソリューションズ鳥取株式会社 の全株式を株式会社ジェイ・ウィル・パートナーズ運営管理下の特別目的会社合同会社に譲渡することを合意した旨報告されます。 此のニュースリリースを受けて各メディアも記事を配信 〔※3・4〕 しています。 当該社は1966年創立の鳥取三洋電機の流れを酌みお米でパンが焼けるヒット商品 ゴパン の開発会社として知られていました。 社名は当面其の儘であるとのことで以てサンヨーブランドの完全消滅が決定される訳ではありませんが ブランドの独立性はほぼ失われ吾人の其処に感じられる価値もほぼ失われるものと考えられます。 三洋電機のパナソニック内でのレーゾンデートルは自己ブランド消滅の為にのみ在るのであるとは 何やら儚いパラドックスにて物哀しさが感じられるものです。 ただ例えば2012年12月17日の追記にもある如く高い評価を受ける電池技術は他にも 本田技研工業株式会社 とのコラボレーションの中に活きており 〔※5〕 ブランドは失われても其の技術は脈々と受け継がれています。

使用写真

  1. Adverts at Piccadilly Circus( photo credit: markhillary via Flickr cc
かたむき通信参照記事(K)
  1. シャープ復活に賭ける世界最高変換効率太陽電池セル開発(2012年12月6日)
  2. 格下げソニーに悪魔の囁き~有望電池事業の売却提案(2012年11月28日)
  3. 有機ELテレビ事業提携交渉~追い詰められたパナソニックとソニー呉越同舟(2012年5月15日)
  4. パナソニックXシリーズエアコンがスマホとの連携機能一部削除に考える付加価値とは(2012年9月12日)
  5. キャラクター商品と日本メーカーに求められる創造性(2012年8月9日)
  6. スーパーカブとカップヌードルとWindowsの共通点とiPhone(2012年8月20日)
参考URL(※)
  1. 一部報道について(三洋電機|Panasonic:ニュースリリース:2012年12月12日)
  2. 三洋テクノソリューションズ鳥取株式会社の株式譲渡について(三洋電機|Panasonic:ニュースリリース:2015年3月11日)
  3. 三洋最後の生産子会社「三洋テクノソリューションズ鳥取」、投資ファンドに売却(AV Watch:2015年3月11日)
  4. 「ゴパン」生んだ子会社売却へ 三洋電機終幕の春(朝日新聞デジタル:2015年3月11日)
  5. ホンダ、パナソニック提携へ HEV・EV向け電池で協業(週刊ダイヤモンドSCOOP|ダイヤモンド・オンライン:2014年10月29日)
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