腕時計の好事家となれば機械式腕時計に惹かれるのは当然とも言えますし、 現代世界に於いてはまたデジタルガジェットとしてのスマートウォッチも欠かすべからざる状況、 かたむき通信にも両者多くの記事を扱って来た処です。
ただ腕時計の楽しみは其れ等のみにあらぬのも確かな処、 例えばかたむき通信にも以下の関連記事を扱いました。
かたむき通信スウォッチ関連記事斯様にSwatch社は 其れ迄スイスと言えば機械式腕時計の聖地として存在感を示す中にクォーツショックにて瀕死となるも 不死鳥の如く蘇ったのは死中に活を求めるべく自らクォーツムーブメントを採用し安価ながら デザイン性に優れコレクターアイテムともなり後の社名をも導く Swatch でした。 クォーツショックがなければ決して顧みられなかった分野であるでしょう。 ならば偶にはかたむき通信にも面白くして変わり種の腕時計を扱うのも宜しかるべし。
今回紹介するのは本記事題目にもある通り PTOLEMAIC WATCH[※1] 、即ち古代ローマにて天動説を唱えたプトレマイオスの時計です。
其の公式ページの説明書きを見れば大凡、 如何に反証されようと我が手に結ぶ腕時計の天動説を唱えて何の不具合があろう哉、 母なる大地を中心に太陽は分針を月は時針を務むべし、 古代エジプトが占星術師の夢たる美しき天の軌道を機構に閉じ込めたUPGが腕時計を見よ、 数多成る時を活きたプトレマイオスが計時法を30mmの径に収めたる、 此れ成る腕時計は日常生活防水にして1年間の保証付き、 太陽年にして僅か20分間の狂いしか許さず、 と後半部は大分下卑たる箇所も見られるものの壮大な主張が述べられています。
プトレマイオスの腕時計に誇大妄想狂的冗句も含みつつ述べられた説明は 其の提供企業の気風を表しているのかも知れません。 何となれば企業名こそ The Unemployed Philosophers Guild と称し本邦の意味する処凡そ 雇われざる哲人組合 となるからです。
本拠地はアメリカはニューヨーク、ブルックリンのアトランティックアベニューに構え 販売網は南米から欧州に及んでいるものと公式サイト[※2] にはされています。
其の公式サイトにプトレマイオスの腕時計があるのでしたが、 更に此れを括る腕時計カテゴリー[※3] には自称雇われざる哲人組合、とするに相応しいデザインの腕時計が並ぶのが 右の当該サイトのスクリーンショットを拝借し表示するものをご覧じればお分かりいただけるでしょう。
一瞥しただけでも画家ダリに万能人ダ・ビンチ、思想家ニーチェに文豪シェークスピア、 学者フロイトに果ては革命家ゲバラとユニークな人選のテーマが並び、 テーマに応じてはプトレマイオスの腕時計が如く不可思議な長針、短針が小宇宙を廻っています。 不思議の国のアリスなどヒラヒラと周囲を舞うトランプも愉快でしょう。
価格は凡そ35米ドルから40米ドルを超える辺り迄、 2014年7月現在の相場に照らして日本円に換算すれば約3千5百円から4千円余りにて、 コレクターズアイテムとして幾つか入手するにもお手頃な価格となっています。
ただ公式サイトのどの腕時計の説明ページを見てもムーブメント等の詳細は記されておらず、 其処等辺りはなかなか腕時計ファンの食指を動かすには難しいでしょうし、 顧客に腕時計ファンも目論んではいないでしょうが、 日本では余り見掛けない腕時計ですから諸事情を踏まえた上で 此の独特な世界を楽しむのも良いかも知れません。
使用写真 参考URL(※)- Ptolemaic Watch(Unemployed Philosophers Guild)
- The Unemployed Philosophers Guild, Give the thoughtful gift because the unexamined gift is not worth giving.
- Watches(Unemployed Philosophers Guild)