WWDC 2012 では盛り沢山の発表内容であったにも関わらず iPhoneへの言及は有りませんでした。 ファンに取っては勿論想定内でしたが 秋の新商品へ向けての期待が高まったのも否めないでしょう。
次期iPhoneについてはかたむき通信にも以下列挙する処を扱いました。
前者はボディーに、後者は画面に関する情報でした。 此処にもうひとつ近距離無線通信に関する情報が伝わって来ました。 CNET Japanが2012年6月26日に配信する 次期「iPhone」、近距離無線通信に対応か に記載があり、これは更に9to5Macの New iPhone prototypes have NFC chips and antenna から得られた情報です。 近距離無線通信とは日本で言う所謂おサイフケータイで 駅の自動改札などにも利用されている技術です。
スマートフォンが今後少額決済の主役に躍り出ることは間違いなく さてスマートフォンで決済が行われるとなると面倒なサインの必要もなく お店のレジカウンターや駅の改札でピッと翳すだけで済むように 近距離無線通信の必要が出て来る訳です。 その機能が次期iPhoneに搭載されることが試作品から抽出した プログラミングコードなどの証拠が挙げられ確実視されているのですね。 WWDC 2012 での発表の一つ、 iOS6 に於けるレシート、入場券、搭乗券、店舗カードの電子版をiPhone内に保管できる機能、 Passbook も状況証拠の一つに挙げられています。
決済についてはIT業界に於いて実に競走の激しい処となっています。 それはAcenumber Technical Issuesブログの2011年12月24日の記事 iモードからdメニューへ~ドコモ課金モデルとGoogleウォレット にも記す通りでGoogle社が日本市場へ積極的に打って出て来ていますし、 従来市場を握っていた日本の携帯の王者ドコモでさえ スマートフォンへの移行に伴い苦慮するものとなっているのです。
この際、Acenumber Technical Issuesブログの2011年9月19日の記事 Google Wallet ≠ 日本のおサイフケータイ は日本に於いては重要な事項となります。 従来普及した日本方式 Felica(フェリカ) と世界標準の NFC(Near Field Communication) には互換性がありません。 利用にはどちらかを選ぶ必要があります。
しかし趨勢はIT業界の巨人マイクロソフト社が舵を切ったように (Acenumber Technical Issuesブログ2011年9月20日記事 STマイクロエレクトロニクスによりNFC利用可能となったWindows8 参照)NFCの優勢は否めません。
実は日本に於いてさえAcenumber Technical Issuesブログ2011年12月23日の記事 日本でもおサイフケータイからNFCが主流に に記載した3大キャリア間でNFCの採用で合意が見られたように すっかり根付いた感もあったおサイフケータイは切り捨てられようとしています。この状況下で今秋にもiPhone5に NFC が搭載されることが発表されれば それはおサイフケータイへの引導を渡す意味を持つものとなり兼ねません。
NFCが採用されれば世界標準であるに依ってコスト削減が可能になります。 これはスマートフォンの値段が下がることに繋がりますし、 決済機器の価格も下がることで店舗側の負担も減ります。 しかし従来普及したおサイフケータイ関連機器は使えなくなります。
従来の古い資産を大切にする余りおサイフケータイに舵を切れば またぞろ携帯電話に言われた日本のガラパゴス化がスマートフォンに於いても招かれてしまいます。 従って日本市場は今重要な岐路に立たされており、 その趨勢をiPhone5が握っているかも知れない状況となっているのです。
日本がおサイフケータイからNFCへの転換を誤れば それは使用時に於ける混乱、 二つの機能の搭載によるスマホ料金への転化と 直截ユーザーへの負担に繋がります。 只でさえ近年スマートフォンの料金は上がる一方ですので、 両機能搭載は避けて欲しい処ですし、 お店のレジや改札での混乱は其の場に直面すれば本当に避けたいものです。
但しiPhoneに於いては過去のしがらみは一切ありませんので、 やはり此処でも日本の近距離無線通信の趨勢を決めるのはiPhoneとなる確率が高まったと言え、 人気商品の影響力の強さに驚かされるものです。