電子書籍が喧しく謂われるも一気に移行は進む訳でもありません。 孰れ紙媒体と電子書籍は適材適所でその特質に応じてそれぞれに役割を果たすべく 落ち着く先に落ち着いていくのでしょうが、 今は未だ電子書籍は日本においては一歩一歩着実に前進するも普及の度合いは低く、 伸び代は大きいのだと思います。
大きな市場が控えているとなればビジネスとして参入する企業が弥増すもの、 かたむき通信にも2012年6月28日に GoogleがNexus 7を意欲的な価格設定で投入しタブレット市場は愈々激戦区に なる記事を配信、タブレット市場の激しい競争を伝えました。
タブレット市場を見渡してみればマーケティングの常でしょう、 高付加価値を持った高級機とシンプルな機能の低廉機にセグメント分けされているようです。 即ちアップル社のiPadに代表される高価格帯及び、 アマゾン社のKindleに代表される低価格帯の2セグメントです。
サムスンなどGoogle社のAndroid OSを用いてiPad追撃を狙いますし そこにアマゾン社がKindle Fireを以て参集する様相を呈しています。 かたむき通信には2012年6月26日に Kindle(キンドル)~アマゾンの電子書籍リーダー日本上陸予告 を伝えもしました。
愈々日本のタブレット市場が活況を呈し利用者には嬉しい限りですが、 また拍車を掛ける如く楽天の参入の知らせが届いたのは昨日2012年7月2日でした。 インプレスPC Watchの 楽天、電子ペーパー式電子書籍端末「kobo Touch」を発売 などが伝える処です。
Koboはグローバル展開を方針とする楽天が2011年11月に買収した電子書籍事業を営む企業です。 楽天は2011年11月9日付けでプレスリリース カナダの電子書籍事業者Kobo社の買収に関するお知らせ が配信されています。 本と出版の未来を考えるためのメディアであるマガジン航では2011年11月9日に 楽天、kobo買収の本当の意味 を配信、楽天の電子書籍事業への戦略を紐解いています。 楽天は遂にこのKoboリソースを用いて日本の電子書籍市場に切り込むこととなったのでした。
Kobo Touchの発売は半月後の2012年7月19日、価格は7,980円とされています。
さて楽天の電子書籍事業と言えば既に電子書籍ストア Raboo が去年2011年8月10日に開始されています。 インプレスInternet Watchには半月ほど先立つ2011年7月22日に 楽天、ポイントでも買える電子書籍ストア「Raboo」を8月10日開設 などとして報じられもしています。 楽天の電子書籍サービスRaboo を見ればその対応端末は、以下の2つ。
前者はインプレスPC Watchの2011年8月11日の記事 楽天、電子書籍ストア「Raboo」をオープン ~パナソニック製7型タブレットが専用端末として登場 にあるようにRabooオープンと共に登場し、 一時期Rabooを利用するには必須の端末でしたが、 その直販価格は34,800円と些か高級機に脚を踏み入れた価格帯でもあるようです。
Panasonicに遅れること3ヶ月余り、ソニーがRabooに対応させたのが後者の自社電子書籍端末 Reader で、その関連記事はItmediaのeBook Userの2011年10月19日の記事 楽天の「Raboo」、ソニーの「Reader」からも利用可能に に伝えられています。
この楽天の電子書籍サービスRabooには毀誉褒貶あるようで、
対極に位置するサービス提供開始時ほぼ同時期の記事の内から
好意的なものを見ればその代表的なものはWebと人のアマモ場さんの2011年8月11日の記事
楽天「Raboo(ラブー)」が一番便利な電子書籍ストアと言える2つの理由とは?
(2019年6月17日現在記事削除確認)があり、また批判的なものを見れば悲観者思考の携帯電話さんの2011年8月13日の記事
【Raboo】電子書籍って成功させる気あるの?
があり、両者ともになる程と思わせられる内容となっています。
インプレスPC Watchの7月2日のKobo Touch発売の記事では 電子書籍の販売にあたっては、本体発売と同じ7月19日から「koboイーブックストア」をオープンする と高らかに謳われており、ではRabooの処遇はどうなるのかと問えば同記事内に 詳細は未定だが何らかの形で今後koboサービスに統合させる予定 とされています。
今の状況を見れば電子書籍に於いては様々な面で未だ整合性の取れるとは
お世辞にも言えない状態のようです。
兵は
追記(2019年6月17日)
結果的には
頃日には小学館のアプリ内で提供されていた電子書籍漫画がサービス提供終了と共に閲覧不能となっていた事象が ねとらぼ に報告[※2] されました。 Twitterで呟かれた2019年6月9日の閲覧不能事象ツイートが拡散されて初めて小学館は然るべく対応し、 4日後の2019年6月13日付けのリリース[※3] も配信されました。 記事内には業務委託先の不手際の如き弁解とも取れる内容が記載されるのは釈然としませんが、 比較的速い対応で、また個別対応でコンテンツ閲覧の引き継ぎ手続きが提供されるそうですので、 手間は掛かるものの課金ユーザーとして最悪の事態は免れそうです。 今回の件をしても矢張り購入した筈の電子書籍をサービス終了と共に閲覧不能となる問題が、 各所に批判を生み、 電子書籍サービスの属性として定着する感もあり、 延いてはユーザーの躊躇いを生じ、電子書籍市場を委縮させ兼ねなくもあるでしょう。
Rabooサービスは今では見て歩く者ブログから孫引きする、 以下引用の元記事たるリリースもが見られない状態となっています。 邪推すれば、悪い記憶は抹消させてしまいたいかの所業に見えなくもないのが少し残念です。
【Rabooサービス終了のお知らせ】参考URL(※)
平素は、楽天のサービスならびにRabooサービスをご利用いただきありがとうございます。 Rabooサービスは2013年3月31日をもって、サービスを終了することとなりました。 ご利用者様には、突然のお知らせとなりますことをお詫び申し上げます。 サービス終了に関する詳細につきましてはこちらをごらんください。 楽天グループでは、今後もお客さまへより一層のサービス向上に取組んでまいります。
- 楽天の電子書店「Raboo」がサービス終了、購入者はkoboへの移行特典という形で救済するけど……(見て歩く者 by 鷹野凌:2012年9月26日)
- 「久しぶりに電書アプリを開いたら本が読めない」ツイート拡散 サポートは既に終了 出版社が対応を表明(ねとらぼ:2019年6月15日)
- アプリ内購入作品の引き継ぎについて(小学館eコミックストア:サイトからのお知らせ:2019年6月13日)