ギターのフレット溝を切るための計算をする1

ピアノの蓋を開けば整然と並ぶ弦は美しさを感じさせます。 この居並ぶ弦長が即ちグランドピアノのシルエットの優美さを生み出しています。 またパイプオルガンの立ち並ぶ配管も厳かな中にピアノと同様な美しさを感じさせるものです。 これ総て音階に従い整えられた謂わば機能美とも言えるものでしょう。 それはまたギターの指板上に居並ぶフレットも同様です。

平均律の申し子たるピアノと同様、 ギターのフレットもその溝間距離は平均律音階に従っています。 エレキギターの父、 レオ・フェンダーLeonidas Fender) がエレクトリックベースにフレット溝を切って発売するにあたり、 プレシジョンPrecision:正確)ペース と名付けたのも宜成る哉、従来のアップライトペースと異なり、 誰が弾いてもその平均律音階は正確に弾き出されたのでした。

ではその美しくも正確な音階を紡ぎ出す ギターのフレット溝間の距離はどのように計算すればいいのでしょうか?

弦を弾けば振動は弦長に従った定常波をなすのが自然の摂理、 これを人は音として聴きます。 人の耳はこの弦長が単純な整数比をなすとき調和していると感じます。 実際、弦を弾けば定常波には簡単な整数比を持つ別の定常波が付加されています。 これを 倍音 と言いますね。 正しく人間は自然の一部と言う訳です。 この弦長比が特に2の倍数であるとき人はそれを同じ音と認識します。 これを オクターブ と称するのでした。

このオクターブを幾つかに分けたものを 音階 と言いこれがオクターブ毎に同様の減少を繰り返すスパイラルループを描きます。 その分け方には接尾語として を付けます。 自然率、平均律、純正率、などが世に広く知られる処です。 ギターはこの内の平均律に従っています。

ギターに於いて押弦した時、開放された側の弦が発音し、 それはフレットとブリッジの距離に従った高さを持ちます。 フレットはブリッジとの間の距離を起こさしめるのです。 平均律に於いてはオクターブを12の距離に分けています。 ギターの12フレット目にはインレイでマーカーが入っているのはそんな理由からです。 これが音階に於ける1周期をなす印でもあります。 24フレット接続に拘るギタリストが居るのもそんな理由があるのかも知れません。 そのギターはフレットで正確に2オクターブの音域を表現可能となっているからです。

従ってギターの指板にフレット溝を穿つには ブリッジからの距離を平均律に則して音階順に求める必要がある訳です。 ナットとブリッジが弦長でありその半分の距離がオクターブ、 オクターブをギターでは平均律を以て12分割するのが通常です。

では実際にオクターブをどのように12分割するか、 は次稿に譲ることにしましょう。

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