家電ベンチャーBsizeの挑戦

Bsize Web Site

上の図はある家電メーカーのWebサイトで、 この家電メーカーが現在発売している商品は此処に見える 不思議な形に曲げられたパイプ1本だけと言えば驚きではないでしょうか。 しかもこの不思議なパイプが大ヒットして 現在は注文しても納品まで1箇月待ちの人気商品となっているのです。

その家電メーカーの名は BSIZE (Bサイズ)と言い、現在その唯一の商品がこの不思議なパイプの正体である STROKE と命名された電気スタンドなのでした。 従来の電灯部分が開く電気スタンドと異なりシチズン電子の最新技術である 6万時間持つ薄小型のLEDを用いているためパイプ部分に電灯が収まってしまっています。 従って一見した処、電気スタンドに見えないのでした。 このシンプルでいてスタイリッシュなデザインに一目惚れしてしまう向きも多い様です。

この振興家電メーカーが本拠を置くのは神奈川県小田原市の一軒家で社員はたった一人、社長の 八木啓太 (29歳)氏だけです。 一軒家の2階は去年2011年結婚した奥さんと住む自宅ともなっているのでした。 八木氏は以前富士フィルムで医療機器の設計に携わっており、 去年2011年9月、結婚直後に起業し、流石に新婚の奥さんは驚きましたが 意思が固いのを見て応援しようと決心し、今に至るのだそうです。 独立して3ヶ月で作ったこのLEDスタンド、STROKE、1台3万9,900円也が いきなりヒット商品となって一安心ですが、 正しくベンチャーを地で行く決断でした。

起業は或る種の賭けであったとは言え勝算も有った訳です。 シチズン電子の最新LEDには以前の職場に在籍していた頃から目をつけていました。 これをゼロから開発するのは大変な困難を伴う折角の良い技術を 活かすアイデアを八木さんは懐に起業したのでした。 大手メーカーではそれこそ企画開発、技術開発にデザインと、 更に物が出来てもマーケティング、製造更には販売戦略と、 新商品の開発から発売迄に数年掛かることも珍しくありません。 これに先駆けて市場に製品を投入すれば充分勝負になると八木氏は踏んだのでした。 此処等辺りにもかたむき通信にしばしば記事 〔K1~3〕 にする大手家電メーカーの凋落の大きな要因があるでしょう。 Bsizeでは起業から僅か3ヶ月で商品化しています。

ベンチャーが大手に勝るのは何より小回りです。 八木氏は組織の決定を待たず全て自分の判断で行動に移せる早い判断のメリットに言及します。 社員一人きりのBsizeでは勿論開発から設計・製造、梱包迄全て八木氏が一人で行います。 見るものを魅了するSTROKEの秀麗なデザインも八木さんの手になるもので、 この一本の棒が曲がっているだけデザインは グッドデザイン賞 を受賞してもいるのでした。

一見シンプルなこのSTROKEもしかしその製造には熟練の技が必要とされます。 その骨格たるパイプ加工は曲げと塗装をアウトソースしています。 曲げ加工は金属パイプの曲げ加工に於いては自由自在を自負する東京青梅市の武州工業に依頼し、 また塗装は充分な品質を確保すべく有限会社細川塗装工業に依頼しています。 その製造工程などはホームページ STROKEの出来るまで に紹介されてもいます。 斯くしてヒット商品は世に送り出されているのです。

ホームページには2012年7月10日に他社と共同でリアルFacebookガジェット NOTICE を開発した旨など記載がありますが、 勿論自社独自の新製品の開発にも余念なく今年2012年6月から取り掛かっています。 それは無接点型スマートフォン充電器、 平たい台にスマートフォンを置くだけで充電出来る製品です。 原理的には平台に仕込んだコイルに電流を流して発生する電磁誘導で スマホ内のコイルの電圧を生ぜしめるものです。 大手にも パナソニックQE-TM101 などが既に商品化されていますが、 しかしコンパクトで薄型でシンプルなものが見当たらず其処にニッチ市場を見出したと言う寸法です。

この新開発製品の肝となるのが台素材としてのプラスチックならぬ木材の採用でした。 そのためには2mm以下となる最薄部にも耐える木材でなければなりません。 この問題を解決し得る技術を持っていたのが岐阜県高山市の木工家具の老舗メーカー 飛騨産業株式会社 でした。 飛騨産業の圧縮加工技術に依って木材は厚さは半分に強度は4倍になります。 更には家具加工では通常考えられない微細加工も問題になります。 八木氏が木工の素人だからこそ出せる無理な注文とも言えるものの、 この難しい課題を飛騨産業はクリアするのでした。 因みに木材には種々あり、中には水に沈むほどの比重を持つ材も有ります。 ギターネックなどには堅材で目の詰まったメープル(楓)にも No.1ホワイトと謂う白く美しい材もありますので 孰れバリエーションに加われば面白かろう、とも思います。

更には八木さんはかたむき通信にも伝えた最新の家電や電子技術の展示会である CEATEC JAPAN 2012 〔K4〕 にもその開幕日に出向いていました。 シチズン電子の新LED宜しく、充電器用サンプルが並ぶ中でも 最も薄型化、小型化が可能な基盤を見付け契約しようと言うのです。

こうして選り択った部品は小田原市の一軒家に届き始めます。 構想から4ヶ月、待ち兼ねたように自らの設計に従い組み立てた試作品第1号に iPhoneを置けばお馴染みの充電画面が表示されるのを見て莞爾たるのでした。 発売に向け最終的なブラッシュアップに取り掛かる八木氏の脳裏には 既にこの次の製品の構想が浮かんでいます。 近い将来小田原から世界に向け発信される STROKEに劣らない魅力的な新製品を楽しみに待ちましょう。

かたむき通信参照記事(K)
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  3. レノボのPC世界シェアトップに見る日本電機メーカー復活のヒント(2012年7月22日)
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