シェールガスの技術革新達成に依るブレークのタイミング

エネルギー問題は古今紛争の根源ともなる重大な問題ですが 近世特にその傾向は喧しく多くの戦争はそれがために惹起せしめられました。 中東に富を齎すと共に紛争も絶えないのもその豊富な資源ゆえと思えば 禍福は糾える縄の如し、と言ったものなのでしょう。 しかし今この状況が大きく変わろうとしています。 当然ながら世界情勢もそれに連れ大きく動かざるを得ないでしょう。

そのうねりの中心には最もエネルギーを渇仰する国、アメリカがあります。 世界の警察としてパックスアメリカーナを為した情勢には エネルギー問題も大きく影響していたのは間違いなく 胎動もアメリカより起こるのは必然なのかも知れません。 そのアメリカの新たな動きに以て寄与するのが シェールガスshale gas) です。 シェールガスについてはかたむき通信にも以下列挙の如き記事をものしました。

以上記事にも既にそのインパクトの強さが齎す影響が 例えばオバマ政権のエネルギー政策の転換や日本に於けるインフラなどに顕れて来てはいますが 恐らくは今年2013年にはこの波紋はさらに大きな波となり世界中を覆うこととなるでしょう。

シェールガス採掘に於いて先行するアメリカでは自国に埋蔵量が豊富な上画期となる技術開発がなされ 遂にそのエネルギー価格は世界最低水準に迄低減しました。 最早中東に大きくエネルギーを依存する必要はなくなりつつあります。 それ処か世界で最もエネルギーを消費するであろう国民からの要請に武力まで行使したその国が エネルギーの輸出国としての様相も呈して来ました。 勿論この状況を齎しめた革新を達成するに与った力の有った新開発技術も 高く国外へ売れる大きなビジネスとして展開するものと思われます。 従って従来の中東を中心とする化石エネルギーの供給とのバランスを取りながら エネルギー価格はそれより少し低い処に留まり世界中に普及することが予想されます。

エネルギー問題に苦しみ続ける日本に於いても シェールガスへの一般の関心も高まりつつあり メディアも次第に取り上げるようになりつつあるのでした。 例えば産経ニュースに、去年年末に限っても2つの記事 〔※1・2〕 が配信され、年明け昨日5日にも特集を冠した記事 〔※3〕 の配信がせらるものです。 メディア全体に於いてはほぼ毎日のように情報が齎されていると言ってもいいでしょう。

しかしこのシェールガスのブレークスルーを経た一般への広い普及は 新たな問題をも孕むものでした。 それは大きく纏めれば環境問題に他ならず、 ミクロ的な視点とマクロ的な視点に分けて考えることも出来るものです。

問題の直接的でミクロ的なものは上に列挙した かたむき通信記事中にも2012年10月18日の内容が該当する採掘時の環境汚染です。 写真共有サイトのFlickrに於いてShale Gasで検索を掛ければ アメリカ国内に採掘反対の運動の盛り上がりを見られるものです。 採掘関連企業の技術的開発に依る解決の努力及び情報開示などが望まれます。

そしてマクロ的な問題は化石燃料依存への揺り戻しです。 この問題に関してはアメリカの作家 ピーター・シュワルツ(PETER SCHWARTZ) 氏の文責になる記事 〔※4〕 が一昨日2013年1月4日に配信されました。 シェールガスも化石燃料であることに変わりなく中東の石油と環境問題に於いては同じく機能します。 この新化石燃料が広く使われることで育ちつつあった次世代エネルギーが 致命的な打撃を受けると言う主張です。

特にコスト的な問題がこれを促進するものとされます。 更にはシェールガスの採掘技術は石油採掘にも応用され 従来顧みられなかった油井から採取されるようになり これに依ってガソリン自動車なども復権すれば普及しつつある HV(ハイブリットカー)やEV(電気自動車)への影響も免れ得ないものとします。 本日2013年1月6日あたりEV用の充電設備に総額500億円以上が補助される旨 経済産業省が公表したとするニュースが報じられ、 これも数年に渡る検討の末のものであったでしょうが果たして シェールガスの起こした大きな波紋が広がる中に如何なる影響を受けるでしょうか。 次世代エネルギーの成長を止め環境問題は元の木阿弥と化す懸念が表明されている訳です。

シェールガスはアメリカの長年の尽力にブレークスルーを齎され 今やエネルギー価格を大きく低減させようとしています。 土台がエネルギーに関しては人類は戦争さえ起こし兼ねない情動を催すものでありました。 世界に広がるこの奔流の様な流れを誰が堰き止められると言うのでしょう。 幾ら止めようとしても水が低きに動くのは自然の摂理で止む無きものであれば、 愈々以て激しさを増すのを前提として国から個人迄、 各々に対応を処すべきと考えます。

シェールガスにブレークスルーの訪れるのが もう少し早ければ原子力などをクリーンエネルギーとして頼る必要もなかったかも知れません、 逆にもう少し遅ければ次世代エネルギーの効率も上がり、 独立独歩で歩めるほどに成長したものかも知れません。 しかし事態は当該タイミングで既にルビコン川を渡りました。 人類全体のエネルギーへのコンセンサスは 巨大母艦の舵のようなもので決して急な方向転換は効きはしません。

使用写真
  1. Dudley Bluffs Bladderpod and Twinpod Habitat( photo credit: USFWS Mountain Prairie via Flickr cc
参考URL(※)
  1. 米シェールガスが急増 2040年推計、輸出も加速(MSN産経ニュース:2012年12月6日)
  2. 【風を読む】論説副委員長・西田令一 シェール革命の戦略的意味(MSN産経ニュース:2012年12月25日)
  3. 【特集 シェール革命 石油地図一変】豊富な埋蔵量 技術進み脚光(MSN産経ニュース:2012年1月5日)
  4. 天然ガスの時代:「次世代エネルギーは終わった」とアメリカは言う(WIRED.jp:2013年1月4日)
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