シェールガス~評価と同時に破砕法のプロペントや注入液への批判も高まる

古来人類はエネルギー争奪の為に戦争をも辞さない歴史を繰り返してきました。 斯様にエネルギー問題は人類に取っての重大事であり、 本邦も蚊帳の外処か東日本大震災及び福島原発問題以降、 その関心は高まるばかりです。 その中で米国に於いて長年のノウハウの蓄積が近年見事に実ることで 劇的にエネルギー価格が抑えられた シェールガス[K1] について注目の集まらない筈もありません。

Flaring

頃日LNG(液化天然ガス)についてその経済性と日本に於けるインフラ整備など かたむき通信にも以下列挙の如く記事として来ました。

一連の記事にはシェールガスの経済的優位性と技術的、インフラ的に先行する米国 及び本邦の現状についてものして来たのですが、 孰れその肯定的な面を取り扱って来ました。 しかし物事には光の部分が有れば、影を生ずるのが道理、 今、否定的な問題が浮上、頻繁に取り上げる処となっています。

シェールガスはシェール(Cher)の名の通り 頁岩(英名:Cher)層から採取されます。 これを安定して取り出すためには頁岩層に穿った通し穴を安定せしめる必要があります。 この手法を 破砕法 と呼び此処に一つのノウハウがあるのですが、 大きな経済的効果を伴えば必然的にその手法は秘中の秘となる道理です。 この穴をガスの通りが安定的に停滞なく滑らかにするための関係各社それぞれが その独自のノウハウで調合した液体を注入するのでした。

この液体と共に プロペントproppant) などと呼ばれるセメントみたような成分が流し込まれます。 凸凹のシェールガスの通り道を広げて固めて滑らかにするために 採掘企業各社に独自の調合を凝らしたものです。 この時この配合には採取効率を上げるために化学薬品が大量に含まれるものとされています。 しかしその成分は企業秘密として一切明かされることはありません。 従って採掘場周辺では土壌汚染が進行する恐れがあると言われ始めたのです。

ウォールストリートジャーナルでは或る噂を伝えました。 2012年10月8日現在製作中の映画 プロミスト・ランド約束の地) の内容がシェールガス採掘の不可欠な破砕法を批判するものだ[※1] というのです。 この映画には有名俳優の マット・デイモンMatt Damon) さんが天然ガス会社々員を演じる処であり話題を呼ぶものとなっていて、 これにLNG関連企業が神経質になっているという模様が伝えられています。

そしてまたその以前に既にシェールガス採掘に警鐘を鳴らていたのが20世紀の偉大なミュージシャン ジョン・レノンJohn Lennon) と日本人女性ヨーコ・オノさんとの間に儲けられたショーン・レノンさん[※2] でした。 父親の残してくれたニューヨーク州デラウエア郡の酪農地に有無を言わさず LNGのパイプラインが通されるのを訝しみ、 自らシェールガス採掘について調べた処、上記した如き大きな問題点を発見したとし、 これに反対するアーティスト団体を設立する旨の記者会見を2012年8月29日に ニューヨークで開いていたと言うのです。 そして元ビートルズメンバーで存命のポール・マッカートニーさん 及びリンゴ・スターさんを含む180名を超えるスターの賛同を今や得ていると言います。

人類のエネルギー徴用の歴史を思えば 原子力発電のリスクを目の当たりにしてその限界感が醸成される中、 既にLNG調達の流れは止められない大河となっているかに思えます。 そしてそれが堰き止め得ぬ潮流であらば 負の面も確りと周知が図られるべきであり、 然らば孰れ環境に配慮した解決策が取られるべきでもあります。 連綿たる努力の末に辿り着いた現在の技術力に更にその解決策を盛り込むのは 関係技術者としても本意でしょうし、 薄っぺらい経営陣の一時的な儲け主義に踊らされて取り返しの付かなくならないように 関連企業の情報公開の義務付けは必須とされるべきでしょう。

使用写真
  1. Flaring( photo credit: Tim Hurst via Flickr cc
かたむき通信参照記事(K)
  1. 米国先行のシェールガスのエネルギー資源開発へのインパクト(2012年5月25日)
参考URL(※)
  1. 映画俳優、マット・デイモンがシェールガス開発に関する映画で物議を醸しだす(Market Hack:2012年10月8日)
  2. シェールガス開発に激しい反対運動 「水圧破砕」めぐり米エンタメ界(Sankei Biz:2012年10月14日)
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