出揃ってきたらくらくスマートフォンの実像レビュー

らくらくフォンとして成功を収めた携帯電話の系譜を引く富士通製ドコモのスマートフォン らくらくスマートフォンF-12D) が2012年8月1日に発売され、 そのターゲット層であるシニア年代を超えてかなりの注目を集めています。

実際に売れ行きも順調で初登場にして初のランキング順位は トップの GALAXY S III SC-06D 、2位の ARROWS X F-10D 、3位の iPhone 4S に続く第4位と並み居る強敵を押さえ込んで上位進出を果たしています[※1]。 奇しくも日本製の端末ではこの時期、最も売れた結果となりました。

かたむき通信がこの機種に注目したのはドコモとしては間違いなく割安な料金設定の らくらくパケ・ホーダイ を見てのこと[K1] でした。 また製造を担当する富士通の決算発表と絡め、 どうにもコンセプトが中途半端と成っていて、 らくらくシリーズの良い意味での割り切りが感じられない[K2] ともしましたが、 この如き好調な売れ行きを示すのは、 唯一無二も製品コンセプトが活きているのかも知れません。 そうであるならば、製品としての練り込みが足りない様に感じられる今、 他社日本端末メーカーは追随しない手はないと思うのですが、 そのような動きが感じられない今、 暫くは富士通のこのカテゴリーの独壇場は続くのでしょう。

これだけ売れるとなるとネット上にも実際に利用している顧客の 実機に対する様々な感想、レビューが上がって来ます。

お約束の裏技を駆使した所謂ハッキングものも当然のようにレポートされます[※2]。 実際の製品とは異なる貸出機ですが発売直前とのことから ほぼ実機に近いものと考えて良い端末でのテスト結果が報告されているものです。 試用の結果、確認されているのは 普通の機種ならば出来る筈の アプリのインストール が出来ないことです。 これはわざと出来なくして、機能制限することで使い勝手を上げ、 逆にらくらくスマートフォンの売りの一つとしているものです。 相当な手練でなければ仕様突破がならない部分は先ず先ずでしょう。

スマートフォンを使い慣れた人物がらくらくスマートフォンが売り口上通り シニア層にも使い易くなっているか試そうと実機を実際に購入、 先ずはパッケージを紐解いてみた内容[※3] の、使用感のレポートが待ち遠しく思われる記事もありますし、 価格.comのクチコミ掲示板には発売より2週間の時点で170件もの書き込みがされています[※4]

口コミレビューには分からず使っている内に開発者用の機能を出してしまうと言った 微笑ましいのだか、ユーザーインターフェースに問題があるのだか分からない、 兎も角シニアの物凄いパワーが感じられる書き込みなども見られますね。 上記の通り、わざわざアプリをインストール出来ないことを売りにしているのに こんな開発用画面が表示されるのは、実に頓珍漢な商品である証拠とも成り得る処です。 どうもらくらくと言うには語弊のあるように感じられる書き込みが多いようなのは 富士通及びドコモ側も考えるべきなのかも知れません。

製品が無事に世に送り出されて一息付いたのか、 開発陣がインタビューを受けている記事も見付かります[※5・6]。 そこには 集大成 と言う、らくらくフォンを成功に導いた先行機の開発者が聞けばどう思われるだろうかと思う、 些か疑義を発したくなるような表現も用いられています。 それでも開発陣としては先ずは遣り切った、やっと終わった、 との気持ちの表れで別段意図はないのでしょう。

またインタビューにここからがスタートであると言及されるのは至極尤もでしょう。 開発陣も恐らくは足りない部分を強く感じている証左だと思います。

Googleアカウントは用いないながらもdメニューを採用するのは しがらみが感じられますし潔さがないように思います。 データのダウンロード速度が切り替わる累積容量もまだまだ手探りであると言及もされていますね。 インタビュー記事が掲載されたのは未だ実機が充分に出回る前の 発売直後ですので実際にお客さんの感想は開発陣には届いていない筈です。 これから上に紹介したレビューなどに加え、 多くがネット上に開陳されるでしょうから それらに真摯に耳を傾け、上手く取り込むことで やっと集大成に向かい歩み始められるに違い有りません。 互いのレビューを付き合わせるとどうにも頓珍漢な仕様は これから練り上げられねばならないものです。

この売れ行き好調のらくらくスマートフォンでは 全国の239教室でらくらくスマートフォン専用の使い方講座が全6回に渡り開催される[※7] そうです。 明確なターゲットが想定されているためにフォローも的確なものと成り易く、 恐らくはこの講座は販促も兼ねた巧い手だと思います。

ただし、です。 本来ならこの簡単に使える筈のコンセプトが売りの 端末に於いての使い方教室は違和感がは大きいものとならざるを得ません。 故スティーブ・ジョブズ氏は己が肝煎りとなるiPhoneを始めとする製品開発に於いては 説明書を出来うる限り必要としないものとするべく努力しました。 一目で目に入る事物が何のために機能するべきものか 利用者が直感的に判断出来るよう尽力しました。 らくらくスマートフォンはこの方向からは外れていると謂わざるを得ません。

ただこの教室に通うことで シニア層が新たな繋がりを得られるのを善しとするならば是非もありません。 その際らくらくスマートフォンは子供達のゲーム機と同じく、 コミュニケーションの媒介として機能するのです。 端末としてはネガティブではありますが、 そのような活用も出来るならそれも有りかも知れないとは思うのです。

追記 (2018年3月4日)
本ブログに高く評価した らくらくスマートフォン は矢張り一定の評価を得、市場を獲得しているのは確かで、従って後続機種も連綿たります。 本記事配信より8年を経て、なお当該カテゴリーに於ける新機種が世に送り出されました。 各ネットメディアなどに告知されていた[※8・9] 如くNTTドコモ社から らくらくスマートフォン me F-03K[※10] が先月末2018年2月28日に発売された[※11] のです。

ドコモの製品の特徴ページ[※12] を見ても、ターゲットに即した通話、メールの両点に絞られた機能が伝えられます。 敢えて加えるならばインターネットにカメラと、取り敢えず其れ等も使用可能であると言う事実が記されるのみで、 ユーザーに安心感を与えるための記述であると言えるでしょう。 基本的にはAndroidスマホではあるので過不足無い能力は有しているのですが、 スペック競争に走るのはターゲット層から考えれば逆効果となるのは論を俟たず、 ユーザーインターフェース的にも多くの機能は隠されているのでしょう。 本記事配信時には疑義を唱えた端末使用時の分かり易さは、 iPhoneの直感的なものとはまた異なる方向を目指しているのかも知れません。 そしてらくらくスマートフォンの目指す方向の指針としてのキーワードは恐らくは 安心感 として良いのではないでしょうか。 此の感覚をユーザーに惹き起こし続け得たからこそ、らくらくスマートフォンは激戦のスマホ業界に命脈を保っているのでしょう。 ガラケー時代のらくらくフォンから考えれば既に19年目となるシリーズは来年には20年目を迎える勘定となります。

かたむき通信参照記事(K)
  1. ドコモのらくらくスマートフォンとらくらくパケ・ホーダイは結構お得なんじゃないだろうか?(2012年5月18日)
  2. 富士通の赤字決算とらくらくスマートフォンに共に感じられるもの(2012年7月27日)
参考URL(※)
  1. 携帯販売ランキング(7月30日~8月5日):“らくらくスマホ”強し――初登場でいきなり4位(ITmedia+Dモバイル:2012年8月10日)
  2. らくらくスマートフォンF-12Dにアプリをインストールできるか?(週アス+:2012年7月24日)
  3. シニア層が買ってもきちんと使えるようになっているのか?ドコモスマホ「らくらくスマートフォンF-12D」を購入したので開封してみた【レポート】(ガジェット通信:2012年8月6日)
  4. らくらくスマートフォン F-12D docomo [ゴールド](価格.com口コミレビュー)
  5. 集大成であり新しいスタート地点 “らくらく”13年目の超進化(前編)(ITmedia+Dモバイル:2012年8月1日)
  6. 集大成であり新しいスタート地点 “らくらく”13年目の超進化(後編)(ITmedia+Dモバイル:2012年8月2日)
  7. パソコン教室がシニア向けに「らくらくスマートフォン」使い方教室を開講(Wireless Wire News:2012年8月4日)
  8. docomo withで買える「らくらくスマートフォン me F-03K」(ケータイWatch:2017年10月18日)
  9. ドコモの「らくらくスマートフォン me F-03K」2月28日発売 一括価格は3万8880円(税込)(ITmedia Mobile:2018年2月22日)
  10. らくらくスマートフォン me(NTTドコモ:製品)
  11. [ドコモ端末価格調査] らくらくスマートフォン meなどが発売(ケータイWatch:2018年3月2日)
  12. らくらくスマートフォン me(NTTドコモ:製品:特徴)
スポンサー
スポンサー