雇用確保の面から見ても拠点を有する地域に不安を与えるなど その苦境からリストラ策を発せざるを得なくなった ルネサスエレクトロニクス株式会社 についてはかたむき通信に2012年7月5日、 ルネサス社7月3日発表のリストラ策が巻き起こす波紋 として伝えましたが波紋はそれだけに留まらず 支援側にさえ大きな悪影響を被らせつつあります。
ルネサス社はその前身母体として 三菱、日立、NECの3社があるのは繰り返しかたむき通信にも記す処でしたが、 この内、NEC即ち 日本電気株式会社 の反応が特に鈍く煮え切らないとものでした。 これが物議を醸す原因となっています。
この見方を伝えるのはBuziness Journalの2012年7月13日の メインバンク三井住友からの債務保証要求も拒否 1万人クビ切りNECが、ルネサスに経営危機をバラされた? とタイトルも刺激的な記事です。
記事にはルネサスが債務不履行に陥らない限り手元資金の流出はない 債務保証にさえNECが完全拒否したことで疑念が生じたとされます。 更にはNECのメーンバンクでルネサスの主力行でもある三井住友銀行が債務保証を頑なに拒否したとあって、 ルネサスへの融資が焦げ付けばNEC自体が持ち堪えられないと考えている、 との穿った見方迄抱かせる元となりました。
記事は又ルネサス再建の骨子に親会社3社に依る融資に於いて NECだけは直接融資でなく ルネサスとNECの取引に関する支払い猶予 と言うウルトラCの秘策を打ち出すことが反ってNECの窮状を浮き彫りにするとします。 まるで無い袖は振れぬと謂わんばかりです。 株価の動きから見てNECは今土壇場にいるとさえしています。
確かにNECは1月にはルネサスに匹敵するような 1万人の人員削減を打ち出すなどし継続する赤字経営の最中にあります。
日本の家電メーカーが軒並み赤字を計上するのはかたむき通信にも2012年5月15日、 有機ELテレビ事業提携交渉~追い詰められたパナソニックとソニー呉越同舟 として伝えましたが其処ではどうしてもパナソニックやソニーの名が目立つものの 確りシャープと並びNECの名も挙げた処です。
日経BP ITproの2012年4月27日の記事 NECの2012年3月期決算は純損失1103億円、「4本柱」で成長狙う では社長の言として2期連続最終赤字、無配という結果を重く受け止めるとし、 上の人員削減策にも触れ、成長戦略を述べはしますが、 翻って去年を見ればマイナビニュースの2011年5月11日の記事 NEC、2010年度決算は125億円の赤字に - 今期業績予想は150億円の黒字 や、インプレスのクラウドWatch2011年10月28日の記事 NECの2011年度上期決算は3年連続の最終赤字~下期はスマートフォン事業などを強化へ などを見ても全く以て思惑通りには運んでいないことがはっきりします。
更に公認会計士の高田直芳氏の@ITの連載、 大不況に克つサバイバル経営戦略に於ける2011年11月11日第22回の記事 ソニー・富士通・NECの「健全なる赤字決算」 に目を遣れば惨状ともとれる様相を呈して来るようです。 2008年冬以降景気の底が見えないソニー、 厳しい結果突きつけられた富士通よりも悪い状況としてNECは其処に扱われています。
会計士ならではのデータに基づく分析で 富士通とNECは損益分岐点が存在せず、 最早市場からの退出を余儀なくされるレベルにあり、 NECは経営危機の不安に襲われるとしながらもそうならないのは 偏に潤沢なキャッシュフロー故と考察します。 処がこれがあと1,000億円しかないとデータは語ります。 これをあと1,000億円も有ると見られないのはソニーの同データとの比較ゆえで ジリ貧 と迄、評価は下げられるものです。
此れ等の外からも見える状況に併せ、 NECはルネサス支援に於いて内部事情を垣間見せざるを得ませんでした。 端無くもルネサスの巻き起こした波紋に大きく足を取られることとなった NECの状況には今後更なる耳目が集中するものと思われます。
追記(2012年7月21日)
NECの株価がこの前日20日に初めて100円を割り込んだのを受け 株価初の100円割れNEC危機的評価~LaVie Zは復活の尖兵となり得るか を配信しました。
追記(2012年9月28日)
形振り構わぬNECが東証以外上場廃止 を配信しました。
追記(2018年6月1日)
順風満帆とは言い難くも業績の改善が見込まれるルネサス社に比べ、 道連れを憂う処か救済を願うべく事態のNEC社である様です。 当該NEC社が通信機器事業からも撤退及び、追加リストラ3,000人敢行との情報を得て本ブログ2012年7月21日の記事 株価初の100円割れNEC危機的評価~LaVie Zは復活の尖兵となり得るか に追記し配信しました。