メイカーズ
の文脈で頃日ものづくり復権の動きが語られることが多くなっています。
メディアで取り上げられる嚆矢となったのはコンピュータ書籍を主に取り扱う
Make: Technology on Your Time
辺りかも知れません。
そして決定版となったのはロングテールやフリーミアムの概念提唱で名を馳せた
今、大手のメーカーが構造的な不況もあり、 またその規模の大きさが災いして方針転換もままならず凋落の憂き目を見ているのを尻目に 個人がものづくりに活躍、脚光を浴びる時代となっています。 それは宛らパナソニックの松下幸之助氏や本田技研の本田宗一郎[K1・2] 氏、ソニーの井深大氏と盛田昭夫氏など綺羅星の如き創業者が登場した当時を髣髴とさせ、 この潮流、ムーブメントをメイカーズと称する処です。
かたむき通信にメイカーズの一つとして取り上げたのは家電のベンチャー企業 Bsize[K3] でした。 神奈川県小田原市に本拠を置く此のメーカーの社員はたった一人、 社長の八木啓太氏のみで氏が設計開発から梱包発送迄全て賄っている一人メーカーでした。 その製品第1号である一本のパイプで構成される電気スタンドは 高額ながら納品に数ヶ月を要する人気商品ともなっているのでした。
そして腕時計の分野でも同じくメイカーズの文脈で語られる企業があります。 代表に 清水新六 氏を擁し長野県諏訪郡に本拠を置く 有限会社コスタンテ がその企業です。
腕時計と一口に言っても値段はピンキリ、 デザインもクラシックなものからポップなもの、女性向けに男性向け、 ムーブメントもクォーツと機械式に大別されども 機械式ムーブメントは種類に依ってはその精度が大きく異なるのは勿論です。 専門家でも此れ等の情報を全て負い掛けるのは難しいでしょう。 なればこそ此れ等を整理、抽出する人物が必要とされ そのコーディネートを請け負うのが清水氏であり、コスタンテ社の中核たる 時計企画室コスタンテ なのでした。 コスタンテは腕時計のコンセプト作りをこそ本分とします。
清水氏はセイコーエプソンの前身 株式会社諏訪精工舎 にキャリアを開始しセイコーのOEM向けの商品企画なども担当していたと言いますから 素地は前職時代から磨かれていたことになります。 2002年コスタンテを設立後は嘗ての同僚と分業体制を布き 設計、デザインや製作などは任せています。
社名としたコスタンテはイタリア語であり英語で言えば
![SPQR~Roman drain cover - was the sign of the ancient Romans too photo credit by TheCreativePenn](https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEioHlL3zjLpFFeLIDVGWuiTwG6elxiYp7IJ1mmHe8yWm2cYOXUNsBZ6tHxcENUtlj-32DHD6tvD7RlkZEsN0LZztvJfvgvEyc2qkGJlpjERZJgjREK4eZuwxqQBNqHkmyFZshatmTzcWB7p/s1600/spqr_costante.130114.jpg)
最初にコスタンテがメディアなどに取り上げられる処となったのは好評を博した
腕時計やナースウオッチでこれには
SPQRブランドに興味を持ったのが 東京都初の民間人校長ともなり現在は大阪府の特別顧問を務める 藤原和博 氏で或る時ソメスサドル製の皮バンドの腕時計に惹かれコンタクトを藤原氏から取れば 忽ち清水氏と意気投合、藤原氏プロデュースの腕時計プロジェクト japan が開始されました。 このプロジェクトに東日本大震災を機に製作されたのが SPQR japan311 であり、津波から蘇った奇跡の石 雄勝石 を文字盤にあしらって30本限定で製作されました。 この石は東京駅リニューアル[K5・6] にも使われた石で30万4500円と言う値付けながら直ぐ様完売となりました。 この売上の内、藤原氏へのライセンス料分は雄勝石の加工工場の復活や、 流されてしまった伝統行事 雄勝神楽 の太鼓の復活の為に使われ、その様子はホームページにもカテゴリー 藤原和博プロデュース「japan 311」 として纏められます。 この311はjapanシリーズ第3弾で以下がラインナップされており 孰れも完売なのだそうです。
- japan:ゴールド/シルバー
- japan2010:ゴールド/シルバー
- japan311:雄勝石を文字盤にしたスペシャルバージョン
- japan311L:雄勝の帆立と牡蠣から作ったレディース/カジュアル復興時計
これ等、japanシリーズには孰れも日本の職人の技術が結晶されたもので 第5弾にも勿論職人技が活かされる腕時計が揃えられます。 それは磁器でお馴染みの佐賀県の世界に誇る有田焼でした。 年の明けた今年2013年1月8日付けでは プロトタイプの完成した様子が記事[※1] に配信される SPQR arita の有り、文字盤が有田焼で設えられる様子などが知られます。 発売も近いことでしょう。
コスタンテでは オリエント時計株式会社 からムーブメントを調達しており、 また同社と共同でのオリジナルムーブメント開発の計画も有るのだそうで、 腕時計分野のメイカーズ代表としての活躍が期待されます。 そして若し日本に於ける腕時計業界がコスタンテに続くようなメイカーズを輩出し、 スイスのような其々がストーリーを持つブランドが並存すれば、 其の様を思い浮べるだけでも楽しいものです。
使用写真- SPQR~Roman drain cover - was the sign of the ancient Romans too( photo credit: TheCreativePenn via Flickr cc)
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