文化庁配信の違法ダウンロード刑罰化についてのQ&A、特に子供用が秀逸な件

一部の業界のみの利益を守るために 利用者の便益を何も弁えず一方的で恣意的な法律が 混乱した国会に乗じて可決されましたが、 如何なる経緯を辿ったとは言え法治国家に於ける法令遵守は絶対でなければなりません。

違法ダウンロード問題及びその刑罰化、 即ち改正著作権法についてかたむき通信に伝えると共に 些かの考察を附け添えて来た一連の記事が以下になります。

突如強引とも言える手法で法制化がなされ、 充分な検討も周知も図られていないままでは、 その法律の運用は極めてグレーで下手をすれば何処ぞの検閲国家ともなり兼ねません。 余りにも稚拙な一部業界の利益を代表する一部政治家の不備を慮ってか 文化庁が例外的に法令の運用に於ける基準ともなるべきQ&Aを用意しました。

文化庁ホームページの著作権に関するコーナーに 違法ダウンロードの刑事罰化についてのQ&A なる頁の設えられ以下PDF2ファイルにリンクが貼られています。 (2019年7月6日現在、確認した処、各ドキュメントは改訂が加えられバージョン2となっています。)

特に後者は子ども用と断わりながらも 大人に取っても実に分かり易いものとなっていますので、 何が犯罪行為に相当するか、刑事罰の可能性は奈辺に有るのか、 国民には一読され周知される必要が有りますので、以下に全文引用します。

  1. そもそも違法ダウンロードとは何ですか?
    音楽や映画の作品を作った作者(アーティスト)には、著作権が与えられています。 著作権とは、著作権法という法律によって、無断で作品を利用 (コピーやインターネットで送信することなど)させない権利のことです。 ただし、みなさんが自分自身で楽しむことを目的に、 音楽や映画をパソコンなどでコピーする行為は、 作者(アーティスト)に了解を得なくても、基本的に自由に行ってよいこととなっています。 しかし、インターネット上にある音楽や映画の中には、作者(アーティスト)に無断で 掲載(アップロード)されたもの(これを海賊版と言います。)もあります。 たとえ自分自身で楽しむことが目的であったとしても、海賊版の音楽や映画を、 海賊版であると知りながらパソコンなどに取り込むこと(ダウンロード)を 「違法ダウンロード」と言い、刑罰はないものの、違法な行為です。 特に、これらの音楽や映画が、CDやDVDとして正規に売られている場合などには、 違法ダウンロードが刑罰の対象になる可能性が出てきます。 なお、違法ダウンロードの対象となる行為は、 音楽の場合のように録音することや、映画の場合のように録画することを指します。
    違法ダウンロードの対象となる行為
    違法ダウンロードの対象となる行為
  2. 違法ダウンロードは、なぜ悪いことなのですか?
    通常、音楽や映画はCDやDVDとしてお店で売られており、 このCDやDVDが売れると、 それを作った作者(アーティスト)のもとに収入としてお金が入ることになります。 この収入により得られたお金は、さらに新しい作品を作ることに使われたり、 作者(アーティスト)の卵を育てることに使われたりすることなどにより、 より豊かな文化の創造につながることとなります。 ところが、海賊版の音楽や映画がダウンロードされると、 作者(アーティスト)には全くお金が入らず、新しい作品を生みだしたり、 次の世代の作者(アーティスト)を育てたりすることができなくなってしまいます。 このように、違法ダウンロードは文化の発展に悪い影響を与えます。 そこで、特に、CDやDVDとして売られている音楽や映画の海賊版を、 海賊版であると知りながらパソコンなどにダウンロードすることについては、 刑罰の対象とすることとされました。
  3. CDやDVDとして売られている音楽や映画と違って、 テレビの番組は無料で見ることができますが、 このように無料で放送されているテレビの番組の海賊版を ダウンロードする行為も刑罰の対象になるのでしょうか?
    ドラマなどのテレビ番組は無料で放送されているため、刑罰の対象にはなりません。 ただし、テレビ番組であっても、DVDとして正規に売られているようなものについては、 その番組の海賊版を、海賊版だと知りながらダウンロードすると刑罰の対象となります。
  4. 海賊版の音楽や映画をダウンロードしないように気をつけたいのですが、 どうすれば海賊版ではないと分かるのでしょうか?
    エルマーク
    エルマーク
    海賊版ではない音楽や映画かどうかを知るには、 音楽や映画がのっているホームページに 「エルマーク」というマークがついているかどうかを確認する方法があります。 「エルマーク」は次のようなマークです。 ホームページに「エルマーク」がついていれば、 安心してダウンロードできますので、参考にしてください。
  5. 海賊版の音楽や映画を見たり聞いたりするだけで、刑罰の対象になるのですか?
    単に見たり聞いたりすることは、違法ではなく、刑罰の対象にもなりません。 法律違反となるのは、あくまでも海賊版だと知りながら、 音楽や映画を、録音したり録画したりすることです。
  6. 友達から送られたメールについている海賊版の音楽や映画を 自分のパソコンにコピーすると刑罰の対象となるのですか?
    違法ではなく、刑罰の対象とはなりません。 違法ダウンロードの「ダウンロード」とは、音楽や映画の海賊版について、 ホームページ上にあるものを、インターネットを通じてダウンロードすることです。 メールで送られてきた海賊版を自分のパソコンにコピーする場合は、 ホームページ上にあるものをインターネットを通じてダウンロードする場合に当たりません。
  7. 個人で楽しむためにホームページ上にある写真や漫画を 自分のパソコンにコピーすると刑罰の対象になるのですか?
    個人で楽しむ場合は違法ではなく、刑罰の対象にはなりません。 違法ダウンロードの「ダウンロード」とは、音楽の場合のように録音することや、 映画の場合のように録画することをいいます。 写真や漫画を自分が見るためにパソコンにコピーすることは、録音や録画に当たりません。

本来はこの如きお役所の説明がなくとも 法律はもっと分かり易いものであるべきでしょう。 しかもこれは違法、これは違法ではない、 などと最早インターネットの普及し切った時代に 普通に感じられる行為を分別するなど尋常とは思えません。

但し一度法制化がなれば人々は従わざるを得ない処に まともな論議も充分なされないまま形となったものが分かろう筈もなく、 然るに今回の文化庁の措置は的を得たものでした。

文化庁の一般用PDFファイルの内容についても見れば 故意犯 であるとか、 親告罪 であるとか、判断の難しいグレーの部分は文化庁としては致し方なく、 別件逮捕など、どのように利活用されるか分からない その危険性は放置される他はなく、萎縮効果の影響が減じられるものではないとしても、 Q5に於けるストリーミングのキャッシュの問題に踏み込んだ部分などもあり、 一定の評価が出来るものとなっています。

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