貴族が貴族のために作り上げた陶磁器こそ
ジノリ陶磁窯は1896年(明治29年)にミラノのリチャード製陶社と合併、 屋号を現在のリチャードジノリとし、 1956年(昭和31年)更なる合併でイタリア最大の陶磁器メーカーとなっていた同社は 破産宣告を受けた2013年1月7日時点での従業員は325人、 経営困難から見売り先を求めていたもののそれも暗礁に乗り上げる[※2] ものと伝えられます。 同社のブランド、陶磁器ファンには寂しい顛末となりました。
リチャードジノリはその創業期から目標とした陶磁器に西洋白磁の白眉たるドイツの
現代に其れ等世界に冠たる陶磁器ブランドとなって 数百年を経た昭和の御世に転じて日本を襲来したのはバブルの最中でした。 うたかたに熱狂する本邦にこれ等西洋白磁は挙って持て囃されたもので、 幾らか本拠地を潤わせもしたでしょう。
バブル熱に浮かれた日本にてはその余波も大きく 今に至った去年は2013年になって遂に幕を閉じざるを得ない仕儀となった企業も かたむき通信に扱いました。 ちょうど昨日取り上げたゴルフ場経営企業の苦境[K1] は先立つ半年前[K2] より倒産の歯止めが利かぬのが垣間見え、 また食品加工業[K3] にも観光業[K4] にも飲食店[K5] にも全国全般に及ぶ尾を未だ引くものとなっており、 その多くはバブル期の投資が失敗して後も不況の長引き 愈々息をも継げなくなった結果のものです。
この如く本邦に1980年代の1旬熱狂に浮かれたバブルも崩壊しては いつか世界第2位だった経済大国の萎むに連れ 遠く西洋の高級白磁メーカーにもお得意の一つが消え去るとあって 些かの影響があったものかも知れません。
使用写真- controsoffittare( photo credit: °d° [2] via Flickr cc)
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- リチャードジノリ(Wikipedia)
- 伊裁判所、陶磁器老舗のリチャードジノリに破産宣告=関係筋(Reuters:2013年1月8日)