腕時計ファンには謂わずもがなの内容ではあったのは、 スイスには世界一と評される産業があり、それこそ時計である、と始まることでも、 またスイス時計業界を紹介するにポップなデザインで一世を風靡したとして スウォッチ[K4・5] が、高級腕時計の代名詞として オメガ[K6] が紹介され、世界に誇る時計メーカーが数多く存在する国であることが紹介されることからも分かるのですが、 其処は其れ、動画ならではの優れた情報伝達力により 書籍、雑誌などからとは違った種類の意味が感じられる番組だったのです。
番組の趣旨としてはビバー氏が主役には有らずして
16世紀から脈々と続くスイスの時計文化に大きく貢献する
メイドインジャパンではあるのですが、
其の番組が今を時めく時計メーカーとして取材に訪れた先こそビバー氏が現在会長を務める
取材ディレクター氏が訪れたウブロ本社屋の前には雄大な草原が広がるシチュエーション、 其の中に4階建ての濃いグレーのモダンな本社屋が建つ、などは矢張り動画メディアが伝えてくれるアドバンテージが感じられます。 社屋の前には日の丸が掲げられ取材ディレクターを出迎えていたのですが、 実はこれビバー氏の日本から取り入れたおもてなし、との主張は 番組のナレーションのサザエさんのお母さん、フネさんの声が 丁寧に仕事を進める日本と同じものづくりの姿勢が息衝いている、 そんな意味を込めての言葉だったのです、と説明してくれます。
番組がウブロを簡略に案内するには以下のような内容にて、 かたむき通信の愛読者には既にお馴染みの事柄ばかりかと。
電池は一切使用しない機械式時計の製造のこだわりの組立ては全て職人の手作業、とするのも勝手知ったる内容の しかしマニア垂涎の時計製作の工房内も確り撮影、放映され、 清潔感溢れるモダンでクリーンな部屋にはクリアパネルで一つ一つの作業用デスクがパーテーションされており、 職人の皆さんは胸まで届く高くセッティングされた作業机に向かい 拡大鏡を片目につけて作業に励む様が映し出されました。
趣旨たるメイドインジャパンを捜し求める取材ディレクター氏を伴って エレベーターで階を移動、案内してビバー氏が披露したのが静岡県に本拠を置く スター精密株式会社 の自動旋盤にて確かにプラントのプレートには画面に映し出されるに STAR MICRONICS CO.LTD 1500-34 Misawa Kikugawa-cho Ogasa-gun Shizuoka-pref. Japan と刻印される SR-20 R II なる機種だったのでした。 ホームページには此の一つ型番の上がった SR-20RⅢ[追1] が用意されています。 極小サイズのパーツを加工するための工作機械は 精密な加工に掛けては世界有数の精度を誇ると言われるメイドインジャパン、 正しく番組が捜し求めたものでした。 此の日本製の機械で切り出された時計の極小パーツが ウブロの屋台骨を支える一本となっているのであって、 世界が注目する時計メーカーの影に日本の技術が一役買っていた、と番組は〆る寸法です。
しかし腕時計ファンに取っては何と言っても今回のこの番組のお手柄は 図らずもウブロ会長ビバー氏の人柄がもろに画面に映し出されたことに尽きるでしょう。 氏と直接の対面の無い向きには今迄何となく気難しくて近寄りがたいイメージであったのではないかと拝察します。 処が、処が、番組に登場したビバー氏はバラエティークイズ番組たる其の出演解答者も吃驚の ハイテンション陽気おじさんだったのでした。
その明るさ、気さくさ、テンションの高さは飛びっ切り、 常にハイテンションで高い笑い声を上げて大きな手振り身振りで声を張って陽気に話す様子には 思わず見ている此方も釣られ吊られてついつい笑みがこぼれてしまうほど、 大柄で赤ら顔で髪は既に些か退行しているものの豪快に笑う感じが アメリカンヤンキーまたはちょっとしたカウボーイのような印象を与えます。 此の御方、ルクセンブルク生まれのスイス育ちの筈なんですが[K2] 凡そ日本人のイメージする北部ヨーロッパの方のイメージに非ず。
番組が社屋内でビバー氏に直接会って話しを聞くのはインタビューすると言うよりは まるで余所の何処ぞの番組のダーツの旅で偶々出遭った道端のおじさんと意気投合した番組スタッフ、と言った感じで、 始めから諸手を上げて陽気に出迎えてくれるビバー氏は 日本語で陽気に握手と共に コンニチハぁ と挨拶、そしていきなり スイスから来ましたぁ と自らの親父ジョークに海老反って高笑いします。 日本国旗が上げられたのをスタッフに問われたビバー氏は お客さんが来た時は歓迎の意味で其の国の旗を立てて出迎えることにしている、 この礼儀作法と敬意を払うことの大切さを私は日本人から学んだんですよ、 としながらも、其の後の、日本に行った事はありますか、との質問に 100回は行ったかな と言ってはまた自らのギャグに大受け、一言で表せば 何処までも明るいスキンヘッドおじさん、とでも言えるでしょうか。
ウブロは日本と言う国のコピーのような会社です との言及もお世辞や社交辞令に聞こえないのは、又また手を打ちながら自ら大笑い、 でもこれは上にフネさんの声が説明してくれた通り、嘘では有りません。 だからこそメイドインジャパン、スター精密の自動旋盤の導入もあるのでしょう。
番組内にはビバー氏が以下の如く、紹介されましたけれど、
かたむき通信読者には最早お馴染みの内容ばかりの、
オメガ重役、ウブロCEOを歴任したスイス時計業界のカリスマ、と言うもの、そして画面には確り書籍
成功者はなぜウブロの時計に惹かれるのか。
のウブロを眼帯にしたフレデリック・アランダ氏撮影の表紙写真も映し出されたのでしたが、
其の印象は人懐っこい陽気な
追記1(2019年9月3日)
スター精密株式会社の スイス型CNC自動旋盤 の一機種「SR-20R」は本記事配信時より更に型番が一つ上がって現在 SR-20RⅣ となっています。
追記2(2020年4月4日)
「和風総本家」に2020年3月19日放映分を最終回として終止符が打たれた旨、 当番組で大人気となった柴犬の子犬 豆助 の其の後の情報と共に本ブログ2013年7月30日の記事 クラシックギターの源流スペインのギター工房に日本のヤスリが奏でる至高の響き に追記しました。
使用写真- Strasbourg( photo credit: Caroline ALEXANDRE via Flickr cc)
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